やなせたかしのことがよくわる！クイズ10問

正解：3

解説：

やなせたかし（本名：柳瀬嵩、1919年2月6日生まれ）は、日本を代表する漫画家・絵本作家・詩人であり、特に『アンパンマン』の作者として知られています。彼は高知県香美市香北町で生まれました。幼少期はこの自然豊かな村で過ごし、その体験が後の作品世界にも大きな影響を与えています。たとえば、『アンパンマン』のやさしさや正義感、困っている人を助けるというテーマは、やなせが幼い頃に感じた戦争や貧困への疑問と、それに対抗する「本当の正義とは何か」を模索した結果として生まれました。やなせは自伝などでもこの故郷への思いをたびたび語っており、彼の原点ともいえる場所が高知県香美市です。

1996年（平成8年）7月には高知県香美市に香美市立やなせたかし記念館「アンパンマンミュージアム」が開館し、1998年（平成10年）8月には同記念館内に雑誌「詩とメルヘン」の表紙イラストやカットなどを収蔵した「詩とメルヘン絵本館」が開館し、全国から多くの来館者を集めています。

正解：2

解説：

やなせたかしと小松暢（こまつ・のぶ）は、雑誌『月刊高知』の編集部で出会いました。やなせたかしは当時、戦後間もない混乱期のなかでさまざまな仕事をしながら、自身の創作活動を続けていました。27歳のとき、高知新聞社に就職。入社して1ヶ月も経たない頃、『月刊高知』という雑誌の編集室に配属されました。この編集部で働いていたのが、小松暢（のぶ）でした。

小松暢は1918（大正7）年生まれで嵩のひとつ上でしたが、嵩は早生まれなので、学年は同じでした。高知新聞の戦後の女性記者第一号として1946（昭和21）年4月に入社しました。暢は年齢よりずっと若く見え、色白で一見かよわそうだが、女学校時代は「韋駄天おのぶ」と異名をとった短距離ランナーで、高知でハチキンと呼ばれる元気いっぱいの明るい女性でした。

二人は共に編集作業に携わる中で親しくなり、やがて結婚に至ります。暢はやなせの創作活動を陰で支え続け、生涯にわたり大きな支えとなる存在でした。このように、二人の出会いは仕事を通じた偶然ではありましたが、その後の人生と創作活動に深く影響を与える重要な出来事でした。

正解：2

解説：

「てのひらを太陽に」は、作詞をやなせたかし、作曲をいずみたくが手がけた楽曲で、1961年に発表されました。この曲は特に小学校の音楽教育において広く親しまれ、多くの世代に歌い継がれてきた名曲です。

作曲を担当したいずみたくは、昭和を代表する作曲家で、「見上げてごらん夜の星を」「夜明けのうた」など数々の名曲を世に送り出しました。「てのひらを太陽に」では、生命の大切さや生きる喜びを明るく力強いメロディで表現し、やなせたかしの詩と見事に調和しています。

この曲が生まれた背景には、やなせが「どんな小さな命でも大切だ」という信念を伝えたいという強い思いがありました。その思いを、いずみたくが生き生きとした音楽で包み込んだことによって、この歌は多くの人々の心に残る不朽の名作となったのです。

歌詞誕生の秘話：

「一九四七（昭和二十二）年に大阪の出版社から描き下ろし長編『新宝島』を刊行した手塚治虫は、当時から天才の呼び声が高かったが、一九五〇年代に入ると「ジャングル大帝」「リボンの騎士」などを雑誌に長期連載し、絶大な人気を得る。
大阪から上京した手塚が住んだ椎名町（現在の豊島区南長崎）のトキワ荘というアパートには、あとに続く新しい才能が集まり、漫画の世界は長編漫画が主流になる。昔ながらの四コマ漫画を描いていたやなせの居場所はますますなくなっていった。
そんなある日のこと、やなせはいつものように深夜まで起きていた。仕事はとっくに終わっていたが、机に向かっていないと、自分は世の中から必要とされていないという思いに押しつぶされそうになるのだ。
嵩はふと、机のそばにあった懐中電灯を手にとってスイッチを入れ、光にてのひらをかざしてみた。すると、指と指のあいだが光に透けて、きれいな赤色に見えた。
「何だろうこの色は……ああそうか、血の色が透けて見えているんだ」
心はこんなに落ち込んでいるのに、からだには赤い血がいきいきと流れている。生きているということの、たしかな証拠がそこにあった。
このとき独立からすでに八年がたち、やなせは四十二歳になっていた。
みみずも、おけらも、あめんぼうも、人から注目されることはない。でも、それぞれの場所で、自分の命を生きている。光の当たることのない小さな生きものたちが、自分に似ているように思えた。
そしてこの夜、「手のひらに太陽を」の歌詞が生まれた。
（梯久美子著『やなせたかしの生涯　アンパンマンとぼく』より）

正解：3

解説：

『やさしいライオン』は、1970年に制作されたやなせたかし原作・脚本の短編アニメーション作品で、彼の初めてのアニメ化作品でもあります。このアニメの制作を勧めたのは、日本アニメ界の巨匠手塚治虫です。

やなせたかしと手塚治虫は同時代のクリエイターであり、親交がありました。当時、すでにアニメーション制作において大きな影響力を持っていた手塚治虫は、やなせの絵本作品『やさしいライオン』に感銘を受け、その感動的なストーリーをアニメとして形にすることを強く勧めました。

手塚の後押しもあり、『やさしいライオン』は虫プロダクションによって制作され、1970年に劇場公開されます。人間の愛情を知らずに育ったライオンと、彼を愛した犬との切なくも温かい絆を描いたこの作品は、多くの観客の心を打ち、やなせたかしの作家としての才能と、人間愛をテーマにした深いメッセージを伝える代表作となりました。

この経験が、やなせたかしが後にアニメーション作品を多数手がけるきっかけにもなり、『アンパンマン』の誕生にもつながっていきます。手塚治虫のひと言が、日本アニメ史に新たなページを刻む大きな転機となったのです。

正解：2

解説：

『詩とメルヘン』は、1973年にサンリオから創刊された文芸雑誌で、やなせたかしが編集長を務めたことでも知られています。この雑誌は、やなせの「誰もが詩人になれる」「心の豊かさを育む作品を世に送り出したい」という信念から誕生しました。

誌面には、詩、童話、イラスト、エッセイなどが掲載され、プロの作家だけでなく一般読者の投稿作品も多く採用されました。これは、やなせが「表現の場をもっと多くの人に開きたい」と考えていたためです。創作初心者にも門戸が開かれており、多くの若い才能がここから羽ばたいていきました。

特に注目されたのは、詩や童話とともに添えられる色鮮やかなイラストで、感性を刺激する誌面構成は多くのファンを魅了しました。『詩とメルヘン』は単なる文芸誌を超え、やなせたかしの人柄や哲学が色濃く反映された文化的なメディアとなり、2003年に終刊するまで30年にわたって愛され続けました。今なお多くの人に影響を与えた、伝説的な雑誌です。

正解：2

解説：

テレビアニメ『それいけ！アンパンマン』は、1988年10月3日に日本テレビ系列で放送が開始されました。この時、やなせたかしは69歳でした。

やなせたかしは1919年2月6日生まれ。長い下積み生活の末に『アンパンマン』というキャラクターを生み出し、1973年に絵本として初登場させました。当初はあまり注目されなかったアンパンマンですが、徐々に人気を集め、15年後の1988年にテレビアニメとして放送がスタートしました。

一般的に高齢とされる69歳でのアニメ放送開始というのは異例であり、「成功に遅すぎるということはない」というやなせの人生そのものを象徴しています。アニメの成功以降、アンパンマンは国民的キャラクターとなり、やなせ自身も高齢になってから一気にメディアに登場するようになりました。多くの人に夢と希望を与えた彼の活躍は、「何歳からでも夢は叶えられる」という力強いメッセージを今も伝え続けています。

正解：1

解説：

テレビアニメ『それいけ！アンパンマン』の主題歌「アンパンマンのマーチ」は、作詞：やなせたかし、作曲：三木たかしによって制作された楽曲で、1988年の放送開始以来、長年にわたって親しまれている名曲です。

この曲の中で最も有名なフレーズの一つが、「なんのために生まれて　なにをして生きるのか」という歌い出しに続く、「そうだ　うれしいんだ　生きるよろこび　たとえ胸の傷がいたんでも」という部分、そして、「そうさ恐れないで　みんなのために　愛と勇気だけがともだちさ」という歌詞です。

この「愛と勇気だけがともだちさ」という一節は、アンパンマンの生き方を象徴する言葉です。彼は、困っている人を助けるために自らの顔（命）を差し出す自己犠牲のヒーローでありながら、誰かと一緒に行動することは少なく、孤独な戦いを続けています。そんなアンパンマンを支えるのは、他者を思いやる**「愛」と、どんな困難にも立ち向かう**「勇気」だけだというメッセージが込められているのです。

この歌詞には、やなせたかし自身の人生観や戦争体験、そして「本当の正義とは何か」というテーマが深く反映されており、単なる子ども向けアニメの主題歌にとどまらず、大人にも深い感動を与える名曲として今も歌い継がれています

正解：2

解説：

やなせたかしの妻・のぶ（柳瀬のぶ、本名：柳瀬暢子）さんは、癌（がん）のため亡くなりました。やなせたかしと妻のぶは戦後すぐに結婚し、長年にわたって苦楽を共にした夫婦でした。のぶさんはデザイナーとしても活動しており、やなせの創作活動を内側から支える存在であったと同時に、良き理解者でもありました。

「たかしはやりたい仕事を思う存分やり、のぶはのぶで好きなことに熱中する。ふたりはそんな夫婦だった。たかしは「これからこんな作品を描くよ」とのぶに言わないし、のぶも聞くことはなかった。けんかをしたことは一度もない。おだやかな性格のたかしは、のぶに対して怒ったり、大きな声を出すことは決してなかった。」（梯久美子著『やなせたかしの生涯　アンパンマンとぼく』より）

やなせは、のぶさんを失ったことを大きな人生の転機として語っています。彼女の死は、やなせに深い悲しみを与えると同時に、「本当に大切なものとは何か」を見つめ直すきっかけになったと言われています。その思いは、『アンパンマン』をはじめとする彼の創作活動にも強く影響を与えました。

例えば、「愛と勇気」や「自己犠牲」「他者への思いやり」など、やなせの作品に共通して流れるテーマの背景には、のぶさんへの深い愛情と喪失の体験が色濃く反映されています。やなせたかしは、のぶさんの死後も彼女との思い出を大切にし続け、その存在は彼の人生と作品の中で生き続けています。

正解：1

解説：

「ピンコロ爺さん」という言葉は、アンパンマンの作者として知られるやなせたかし氏が生み出した造語です。この言葉には、「ピンピン元気に生きて、コロリと安らかに人生を終える」という理想的な老後の生き方が込められています。

正解：2

解説：

やなせたかしは2013年10月13日に亡くなりました。享年94歳でした。彼は1919年2月6日に高知県で生まれ、戦争や長い下積み時代を経て、60代後半にして国民的キャラクター「アンパンマン」を生み出し、晩年まで精力的に活動を続けたことで知られています。

晩年も創作意欲は衰えることなく、『アンパンマン』の絵本やアニメの企画に携わり、講演会などにも精力的に参加していました。彼は、歳を重ねても「夢を持つこと」「誰かのために生きること」の大切さを訴え続け、子どもたちだけでなく、大人たちにも深いメッセージを届けました。

死因は心不全で、東京都内の病院で亡くなりました。亡くなる直前まで仕事に取り組み、人生の最後まで“現役”として創作を続けたその姿勢は、多くの人々に勇気と感動を与えました。やなせたかしの生涯は、「いくつになっても夢を追い続けられる」ということを体現した、まさに現代のヒーローそのものと言えるでしょう。