大化の改新のことがよくわかる！クイズ10問

正解：2. 唐

解説：

618年、隋が滅亡した後、中国全土の混乱の中から新たに台頭した王朝が「唐（とう）」です。唐は、李淵（りえん）によって建国され、彼は唐の初代皇帝「高祖（こうそ）」として即位しました。その後、息子の李世民（りせいみん）が第2代皇帝「太宗（たいそう）」として即位し、内政の整備と領土の拡大に力を注ぎました。

唐は、律令制度を整備し、科挙（かきょ）という官僚登用制度を本格化させるなど、中央集権的な統治体制を確立しました。文化的にも非常に栄え、仏教・道教・儒教が共存し、詩や絵画などの芸術も発展しました。特に唐は国際性の高い王朝として知られ、シルクロードを通じて西アジアや中央アジア、朝鮮半島、日本とも交流を持ちました。

日本においても、遣唐使を通じて律令制度や仏教、建築技術、文化芸術が導入されるなど、唐の影響は非常に大きかったです。唐はその後、9世紀に入って衰退し、907年に滅亡しますが、その約300年にわたる統治は、中国史上でもとくに輝かしい時代のひとつとされています。

正解：2. 蘇我蝦夷とその子入鹿

解説：

山背大兄王（やましろのおおえのおう）は、聖徳太子の子として知られ、太子の死後には皇位継承候補として一時は有力視されていました。しかし、7世紀前半の政局では、皇位をめぐる争いが激化しており、その中で最大勢力となっていたのが蘇我氏です。

特に、蘇我蝦夷（えみし）とその子・蘇我入鹿（いるか）は、朝廷内で絶大な権力を握っており、自らの一族による王権の掌握を狙っていました。山背大兄王の存在は、彼らにとって脅威と映り、643年、入鹿は軍を率いて斑鳩宮を襲撃しました。山背大兄王は逃亡しましたが、最終的に自害に追い込まれ、厩戸皇子（聖徳太子）の血統はこの事件をもって政治的に断絶しました。

正解：3. 中大兄皇子と中臣鎌足

解説：

蘇我入鹿は、朝廷の政治をほぼ独占し、皇族すら従わせる強権的な支配を行っていたため、多くの反感を買っていました。とくに、聖徳太子の子・山背大兄王を自害に追い込むなど、その専横ぶりは皇室にとっても脅威でした。こうした状況の中で、中大兄皇子と中臣鎌足はクーデターを決行し、飛鳥板蓋宮において入鹿を暗殺しました。父の蝦夷はその後、自邸に火を放って自害し、蘇我本宗家は滅亡しました。

この政変ののち、中央集権化を目指す改革が本格的に進められます。これがいわゆる「大化の改新」であり、土地と人民を国家のものとする公地公民制の導入や、地方行政制度の整備、戸籍制度などが展開され、日本の律令国家形成の端緒となりました。

乙巳の変は、豪族による支配から天皇中心の政治体制へと転換する契機となった歴史的事件であり、中大兄皇子と中臣鎌足の行動は、その後の日本の国家体制に大きな影響を与えました。

正解：3. 乙巳の変（いっしのへん）

解説：

乙巳の変（いっしのへん）は、645年に中大兄皇子（後の天智天皇）と中臣鎌足（のちの藤原鎌足）が協力し、当時権勢を振るっていた蘇我入鹿を暗殺し、その父・蘇我蝦夷も自害に追い込んだ政変です。この事件により、強大な豪族であった蘇我本宗家は滅亡し、日本の政治構造が大きく転換する契機となりました。

それまでの政治は、氏姓制度を背景に有力豪族が大王（のちの天皇）を補佐するという形で運営されていましたが、蘇我氏はその中でもとくに支配力を強め、皇族をも圧迫するほどの勢力となっていました。乙巳の変は、こうした蘇我氏の専横に対する反発の表れであり、中大兄皇子と中臣鎌足は、王権の再建と中央集権化を目指してこの政変を断行しました。

この事件の翌年には、日本で初の元号「大化」が制定され、以後の改革は「大化の改新」として展開されていきます。乙巳の変は、その改革の起点として、日本古代史において極めて重要な位置を占めています。また、「乙巳（いつし）」という名称は、当時の干支（えと）に基づく年の呼び名で、政変が起きた年が「乙巳年」であったことに由来します。

正解：1. 大化の改新

解説：

大化の改新は、645年に起こった政変「乙巳の変」の直後から始まった、日本史上初めての本格的な中央集権的改革です。この改革は、蘇我蝦夷・入鹿父子の専横を排除した中大兄皇子（のちの天智天皇）と中臣鎌足（のちの藤原鎌足）が主導し、新たに即位した孝徳天皇のもとで推進されました。

「大化」という元号は、このとき日本で初めて使用された元号であり、この改革がいかに画期的で国家的な転機であったかを示しています。改革の中心的な目的は、豪族たちが私有していた土地や人民を国家のもとに再編成し、天皇を中心とした政治体制を確立することでした。

正解：4. 4ヶ条の改新の詔（みことのり）

解説：

646年（大化2年）の正月に発布された「改新の詔（みことのり）」は、中大兄皇子（のちの天智天皇）と中臣鎌足らが推進した中央集権的改革の基本方針を明示した勅令です。この詔は「4ヶ条」から成り立っており、大化の改新における具体的な施策の指針として重要な意味を持ちます。

4ヶ条の内容は以下の通りです：

1. 公地公民制の確立：全国の土地と人民を天皇の支配下に置き、私有を廃止すること。これにより、豪族が支配していた土地や農民を国家の直接支配下に組み込むことが狙われました。
2. 地方行政の整備：国（くに）・郡（こおり）・里（さと）の三段階による地方制度を導入し、統一的な地方支配体制を整えました。
3. 戸籍・計帳の作成：人民の人数や資産を把握するために、戸籍と計帳を作成して課税や労役の基盤を築きました。
4. 租庸調の税制導入の準備：後に確立される租庸調制の前提として、収穫物や労働力を国家に提供させる体系の準備を進めました。

この詔は、日本において天皇中心の律令国家を形成するための第一歩となるものであり、後の律令制度や政治機構に大きな影響を与えました。また、当時の改革の理念や国家構想が明確に記された文書であるため、古代日本の政治史において非常に重要な位置を占めています。

正解：4. すべての土地と人民を国家のものとする

解説：

公地公民制（こうちこうみんせい）は、646年の「改新の詔」に基づいて実施された、大化の改新の根幹をなす重要な制度です。この制度の目的は、それまで豪族が私的に所有していた土地や人民を国家の管理下に置き、中央集権的な政治体制を確立することにありました。

それまでの日本では、有力な豪族が土地を開墾・支配し、そこに住む農民を私有民（部民）として扱う氏族中心の体制が続いていました。このような私的支配を放置すると、国家としての統一的な支配や徴税が困難になるため、国家が土地と人民を公的に掌握し、均等な支配と税の徴収を可能にする必要がありました。

公地公民制では、全国の土地を「公地」として国家の所有とし、人民を「公民」として国家の管理下に置きました。これにより、土地は農民に一時的に貸し与えられる「口分田」として配分され、定期的に再分配される制度（のちの班田収授法）へとつながります。また、人民は国家に対して「租・庸・調」などの税や労役の義務を負うことになり、統一的な税制・行政の土台が築かれていきました。

この制度は、中国の隋・唐の律令制度を参考にしており、日本古代国家が律令制国家へと移行する過程において非常に重要な一歩でした。公地公民制の導入によって、天皇を中心とする国家の権限が大幅に強化され、後の奈良時代の律令政治へとつながる基礎が築かれたのです。

正解：3. 国郡制

解説：

国郡制（こくぐんせい）は、大化の改新の中で整備された地方統治制度であり、中央集権的な国家体制を確立するために導入された重要な制度です。それまでの日本では、各地の豪族が独自に地域を支配し、土地や人民を私的に管理していました。しかし、これでは国家による一元的な支配や課税が困難だったため、国家が地方行政を直接管理する体制が必要とされました。

国郡制では、全国を「国（こく）」と「郡（ぐん）」という単位に区分し、それぞれに中央から派遣された役人が配置されました。「国司（こくし）」は中央政府から任命され、国を統治し、「郡司（ぐんじ）」は主に地方豪族の中から選ばれて郡を統治しました。さらに郡の下には「里（さと）」という小さな単位が設けられ、人民の生活や戸籍、租税の管理が行われました。

この制度によって、中央政府は地方の人民や土地を把握・統制できるようになり、公地公民制の運用や租庸調などの課税制度の実施が可能となりました。国郡制は、後に完成される律令制度の中でも継承され、奈良時代から平安時代初期にかけての中央集権的な国家運営の基礎を支えました。

国郡制の導入は、単なる行政区画の整備にとどまらず、天皇を中心とする統一国家としての体制を強化する画期的な一歩であったといえます。

正解：3. 天皇中心の政治体制

解説：

大化の改新は、645年に起こった「乙巳の変」を契機として始まった、日本最初の本格的な中央集権的改革です。この改革は、中大兄皇子（のちの天智天皇）と中臣鎌足（のちの藤原鎌足）を中心に推進され、蘇我氏の私的支配を打破し、天皇による公的な支配体制の確立を目指しました。

それまでのヤマト政権は、有力な豪族たちがそれぞれ自らの氏族や領地を支配し、実質的に分権的な体制をとっていました。豪族たちは大王（のちの天皇）を支える形を取りながらも、土地や人民を私有し、強大な影響力を持っていました。

しかし、大化の改新によって導入された「公地公民制」や「国郡制」、「戸籍制度」などの諸改革は、土地と人民を国家が直接管理し、全国を統一的に支配する体制を築くものでした。これにより、国家の最高権力者としての天皇の地位が確立され、すべての政治の中心に天皇が位置づけられるようになります。

この天皇中心の政治体制は、のちの律令国家体制の基礎となり、奈良時代から平安時代初期にかけて完成されていきました。大化の改新は、日本における統一国家形成の出発点であり、古代国家の枠組みを決定づける重要な歴史的転換点だったのです。

正解：4. 日本で初めて使用された元号だった

解説：

「大化（たいか）」という元号は、645年の乙巳の変を経て始まった大化の改新とともに制定されました。これは日本で最初に用いられた元号であり、日本の歴史において画期的な出来事とされています。元号とは、特定の時代を象徴する年号で、もともとは中国の王朝で使われていた制度です。日本でも中国の影響を受けて、独自の元号制度を取り入れたのです。

この「大化」という元号の採用は、単に年の呼び名を変えたというだけでなく、天皇を中心とする新しい国家体制の始まりを象徴する意味が込められていました。すなわち、元号を用いることによって、国家の公式な時間を天皇のもとで管理・宣言するという統治権の明示であり、天皇の権威を国内外に示す意図がありました。

それまでの日本では、特定の元号を持たずに天皇の在位年で年を表していましたが、「大化」の採用によって、以後、日本では元号が制度化され、現代に至るまで継続的に使用されてきました（現在の「令和」もその一つです）。

したがって、「大化」は単なる時代名ではなく、日本という国家が独自に年号を用いて統治を行うようになった国家意識の表れでもあり、歴史的に非常に重要な意味を持つ元号なのです。