太平洋戦争の緒戦の勝利のことがよくわかる！クイズ10問

【正解】2
解説
本問が指す「マレー沖海戦」（1941年12月10日）の結果は、日本軍（実行部隊は日本海軍航空隊）がイギリス東洋艦隊の中核であるZ部隊を撃破し、主力艦の戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」と巡洋戦艦「レパルス」を撃沈したことです。両艦は空母による航空掩護を欠いたまま日本軍の上陸阻止に向かったため、マレー半島東岸沖で日本海軍の陸上攻撃機（九六式陸攻・一式陸攻）の雷撃・爆撃を受け、短時間で相次いで沈没しました。これによりイギリスは東南アジア周辺海域の制海権を急速に喪失し、日本軍の南方作戦、とくにマレー進攻からシンガポール攻略へ向かう作戦の円滑化に大きく寄与しました。さらに、機動性と打撃力に優れた航空兵力が、航行中の大型主力艦を単独で撃沈した例として、戦艦中心の海戦観から航空主兵の時代への転換を象徴する出来事と評価されます。

正解：3
解説：
設問の出来事は、実際には1941年12月の出来事です。日本軍は日本時間の12月8日に南方作戦を開始し、マレー半島と並行して香港方面でも攻勢をかけました。新界・九龍を制圧したのち、12月18～19日に香港島へ渡河して主要高地や水源地を押さえ、補給と防衛線を各所で分断します。これにより英軍・義勇軍は持久が困難となり、**12月25日（いわゆる“ブラック・クリスマス”）に総督マーク・ヤングが降伏し、香港は日本軍の占領下に入りました。シンガポールの陥落（1942年2月）やマニラの占領（1942年1月）、ジャワ島の制圧（1942年3月）は同じ南方作戦圏内の別作戦であり、時期も戦局上の意義も異なります。本問の正答は、12月25日の降伏に直結する「香港の占領」**です。

正解：2
解説：
開戦（日本時間1941年12月8日）から約半年（～1942年5月ごろ）で、日本軍は南方作戦を一気に進め、東南アジアとその周辺の広大な地域を占領しました。まず12月にグアムを陥落させ、香港は12月25日に降伏します。並行してマレー半島へ進撃し、要衝のシンガポールは1942年2月15日に陥落、イギリスの東洋戦略は大打撃を受けました。フィリピンではマニラを1月に占領し、バターン半島（4月9日）とコレヒドール島（5月6日）の降伏で組織的抵抗が終息します。さらに石油・ゴム資源を求めて蘭印（ジャワ・スマトラなど）を攻略し、1942年3月までに連合軍（ABDA軍）は崩壊しました。西方ではビルマ（現ミャンマー）のラングーンを3月に押さえ、英印軍はインド方面へ撤退します。
この一連の電撃的拡大は、英米蘭の補給線を遮断し、石油・ボーキサイト・ゴムなどの資源地帯（南方資源地帯）を確保することを主目的としていました。なお、選択肢1・4にあるハワイやオーストラリア本土、インド全土・中東の占領は達成していません。また選択肢3のような中国大陸の完全制圧やソ連極東の占領も事実ではありません。真珠湾は奇襲による基地打撃であり占領ではない点にも注意が必要です。以上から、半年足らずでの戦果を最も正確にまとめたのは**「グアム、香港、マレー半島、フィリピン、ビルマなど東南アジアのほぼ全域を占領した」**となります。

正解：4
解説：
「大東亜会議」は、1943年11月（東京）に日本政府が主催した首脳級の会議で、当時日本の支配・同盟下にあった、あるいは日本の支援で樹立された諸政権の代表が集まり、「大東亜共同宣言」を採択しました。宣言は、欧米植民地支配からのアジア解放を掲げ、各国の独立・主権尊重、相互協力、経済の自給自足化（ブロック経済的連携）、文化交流の促進などをうたいました。表向きには「大東亜共栄圏」の理念を国際会議の形式で示す政治的イベントであり、日本が対外宣伝上の統合を演出した場であった点が大きな特徴です。
ただし、当時の戦局はガダルカナル撤収（1943年2月）以降、連合国側に傾いており、宣言の理念を実質化するだけの軍事・経済的余力は乏しかったのが実情です。各地域では日本軍の軍政や資源動員が優先され、現地の真の主権確立や対等な関係は限定的でした。選択肢1のカイロ会談（1943年11月末、連合国の対日方針を協議）は東京開催ではなく日本は参加していません。選択肢2のサンフランシスコ講和会議は1951年の戦後講和会議、選択肢3のバンドン会議は1955年に行われたアジア・アフリカ諸国の会議です。したがって本問の正答は大東亜会議となります。

正解：2
解説：
日本は開戦直後、旧宗主国（英・米・蘭・仏）の植民地支配に対抗する「反帝国主義」を掲げ、対外宣伝と軍事協力のために一部の民族運動を後押ししました。その代表例が、自由インド仮政府（Azad Hind）の承認です。自由インド仮政府は、インド独立運動の指導者スバス・チャンドラ・ボースを首班として1943年に樹立され、日本はこれを承認し、東南アジア在留のインド人兵士・民間人を基盤にインド国民軍（INA）の再編・増強を支援しました。INAは日本軍とともにビルマ方面からインド東北部（インパール・コヒマ方面）への進攻作戦に参加し、英領インドの独立気運を対英戦に結びつけることが狙いでした。さらに、日本はアンダマン・ニコバル諸島を自由インド仮政府の管轄下に移し、象徴的な主権移譲を演出しています。
一方、選択肢1のインドネシア独立の即時承認（1942年）は事実ではありません。日本は占領下で独立準備機関（BPUPKI・PPKI）を設けましたが、独立宣言は1945年8月であり、日本の降伏直後です。選択肢3のベトナム民主共和国（ホー・チ・ミン）承認も誤りで、日本が支えたのは1945年3月以降の保大帝の「ベトナム帝国」であり、ホー・チ・ミンの政権は同年9月の成立で日本の承認対象ではありません。選択肢4のフィリピン完全独立（1942年）と米比同盟の維持も事実に反します。日本は1943年に第二共和国（ラウレル政権）を樹立させましたが、日本の強い影響下にあり、米比同盟の継続などありえません。以上から、設問の趣旨に合致するのは自由インド仮政府の承認です。

正解：2
解説：
太平洋戦争初期における日本の南方進出（いわゆる南方作戦）の主眼は、戦争継続に不可欠な戦略物資の確保にありました。とくに、海軍・航空機・機甲部隊を動かす石油、タイヤやガスケットなど軍需物資に必須のゴム、航空機や艦艇・装甲材の軽量合金に用いるボーキサイト（アルミの原料）、さらにスズ・ニッケルなどを豊富に産するマレー半島・蘭印（インドネシア）・ビルマは、日本にとって生命線でした。
1941年7月の南部仏印進駐を受けて、米英蘭は日本の在外資産凍結と対日石油禁輸を実施し、日本のエネルギー事情は一気に逼迫します。国内では石油資源が乏しく、合成燃料も量産段階にありませんでした。そのため、日本は蘭印の油田（スマトラ・ボルネオ）、マレーのゴム・スズ、比島や蘭印周辺のボーキサイトを直接掌握し、輸送船団と要衝基地（シンガポール・マラッカ海峡・ジャワ海周辺）を押さえて**資源輸送の海上交通路（シーレーン）を防衛する戦略をとりました。
宣伝上は「大東亜共栄圏」や「解放」を掲げましたが、現地の行政運営や資源動員は日本の戦時経済を優先し、住民の独立や生活が後回しになる場面が多かったのも事実です。以上より、主たる目的を端的に示すのは「石油・ゴム・ボーキサイトなど重要軍需資源の獲得」**です。

正解：1
解説：
シンガポールでは、1942年2月の降伏直後から日本軍の軍政（「昭南島」）のもとで、反日勢力の摘発を名目にシンガポール華僑虐殺事件（Sook Ching）が行われました。憲兵隊と第25軍は、抗日活動との関係が疑われる華僑社会の成年男性（おおむね18～50歳）を対象に大規模な身分検査・選別を実施し、プンゴル・ビーチ、チャンギ周辺、タナ・メラ、セントーサ（旧名ブラカン・マティ）などに連行して多数を銃殺処刑しました。犠牲者数は資料により大きく幅があり、数千人から数万人規模と推定されています。
この事件は、皇民化（日本語使用・神社参拝の強制）や物資・労務動員と並ぶ恐怖統治として機能しましたが、結果として華僑社会の対日感情を決定的に悪化させ、地下抗日運動の拡大を招きました。なお、選択肢2のマニラ大虐殺は1945年のフィリピンでの出来事、選択肢3の八月革命は1945年のベトナム、選択肢4のラハ事件はインドネシアのアンボン島での連合軍捕虜虐殺であり、本問のシンガポールの事例とは異なります。以上より、正答はシンガポール華僑虐殺事件です。

正解：4
解説：
1942（昭和17）年4月30日に実施された衆議院総選挙は、いわゆる**「翼賛選挙」と呼ばれます。東条英機内閣のもと、大政翼賛会の推薦候補が各地で強力に後押しされ、結果として当選者の8割超（約82％）を占めました。背景には、香港・シンガポール・フィリピン・蘭印などでの初期戦果により高揚した世論、言論・結社・出版の統制、反体制派に不利な選挙運動規制などがありました。
この選挙では、戦時体制下で従来型の政党政治が実質的に解体され、当選後の議員は院内会派「翼賛政治会」に糾合されました。選択肢1のような自由な政党間競争は事実と異なり、選択肢2の女性参政権は戦後の1946年総選挙で初めて実現します。選択肢3のように反政府系が過半を占めた事実もありません。したがって、本問の正答は政府推薦候補が圧倒的大勢を占めた翼賛選挙**です。

正解：3
解説：
戦時下では、現役世代の男性労働者が大量に召集され、生産現場は深刻な人手不足に陥りました。これに対応するため、日本政府は学徒勤労動員を制度化し、中学校以上（旧制の中等学校・高等女学校・実業学校・高等学校・大学など）の生徒・学生を長期にわたり軍需工場や造船所、航空機・兵器・弾薬・通信機器の生産現場に動員しました。1943年以降は学期の大半を工場での作業に充てるケースが広がり、1944年の「決戦」体制では通年動員や授業停止が一般化します。男子学生の学徒出陣（軍への徴兵）と並行して、校内に残る層や女子学生を中心に勤労動員が拡大したことが特徴です。
選択肢1の学童の徴兵は事実ではなく、徴兵は一定年齢以上の男性に限られました。選択肢2の文化関係者の一律配転という制度は存在せず、配置転換は職能や生産計画に応じて行われました。選択肢4のように企業の自主募集だけで賄う段階は早期に限界となり、国家総動員体制のもとで強制力ある動員措置が採られています。以上より、労働力不足に対する制度的対応として最も適切なのは**「中学校以上の学生・生徒が軍需工場に学徒動員された」**です。

正解：4
解説：
日本軍は前線や占領地に軍慰安所（いわゆる慰安施設）を設置し、そこに動員された女性たちの中には従軍慰安婦として性労働を強いられた人が多数いました。出身は朝鮮半島・中国・台湾・フィリピン・インドネシア・オランダ領東インド、そして日本本土など多岐にわたります。募集や移送は軍の指示や黙認の下、軍直営・軍委託・軍関与の業者が担い、詐欺的勧誘、債務拘束、家族や本人の意思に反する連行を含む強制性が指摘されています。
慰安所では反復的な性行為の強要が行われ、移動や外出の制限、監督下での生活、軍医による定期的な性病検査など、女性の身体と自由が厳しく管理されました。報酬や待遇は名目上支払いがあっても実際には軍票や物価高騰、搾取で自由にできない例が多く、暴力や脅迫、健康被害、深刻な心理的外傷を負った証言が残されています。今日の人権基準から見れば、性奴隷制に相当する重大な人権侵害として議論されており、戦後も長く名誉回復や補償、歴史認識をめぐる問題が続いています。
一方、選択肢1～3に挙げた看護・輸送・炊事は戦時動員下で女性が従事した例はありますが、本問が問う**「慰安施設」で強いられた労働とは性質が異なります。したがって正答は「従軍慰安婦としての性労働」**です。