太平洋戦争の戦局の悪化のことがよくわかる！クイズ10問

【正解】2. アメリカ側の暗号解読とレーダー技術により事前に察知され、待ち伏せ攻撃を受けたこと
【解説】
ミッドウェー海戦での日本の敗因の核心は、アメリカ側が日本海軍の作戦暗号（JN-25）を解読し、攻撃目標「AF」がミッドウェーであると事前に把握していた点にあります。これによりニミッツ司令部は空母エンタープライズ、ホーネット、ヨークタウンをミッドウェー北東海域に先回り配置し、日本機動部隊（赤城・加賀・蒼龍・飛龍）に対して層状の待ち伏せ態勢を整えました。さらに、ミッドウェー島や米空母には早期警戒用のレーダーが搭載されており、来襲機の探知・迎撃指示が迅速化しました。レーダー警報は戦闘空中哨戒（CAP）の発進や迎撃方向の指示に役立ち、日本側の突撃の効果を減殺しました。
日本側は索敵網に死角が生じ（とくに捜索機の出遅れ）、また敵情未把握のまま兵装転換を繰り返して飛行甲板上に爆弾・魚雷・燃料を並べる危険な状況を招きました。ちょうどその時、米急降下爆撃隊が上空から突入し、赤城・加賀・蒼龍に致命傷を与えます。日本の空母群には実用的な対空レーダーがなく、敵襲の早期探知やCAPの効率的誘導が難しかったことも被害拡大につながりました。以上のように、「暗号解読による戦略的先見」と「レーダーによる戦術的早期警戒・迎撃」がかみ合い、米側の待ち伏せが成功して日本側は主力空母の大半を失う惨敗となったのです。

【正解】3. ガダルカナル島の戦い
【解説】
ガダルカナル島の戦いは、1942年8月の米軍の上陸（ウォッチタワー作戦）に始まり、1943年2月の日本軍撤収（ケ号作戦）で終結した長期消耗戦です。日本軍は「東京急行（鼠輸送）」と呼ばれる駆逐艦夜間輸送で補給を試みましたが、米軍が確保したヘンダーソン飛行場からの航空攻勢（いわゆる“Cactus Air Force”）や、周辺海域（鉄底海峡）での制海・制空の喪失により、弾薬・食糧・医薬品が慢性的に不足しました。その結果、前線部隊では戦闘死以上に、飢餓とマラリア・赤痢などの疫病で多数の死者が出ました。
日本陸軍第17軍は度重なる総攻撃（特に10月・11月）で飛行場奪回を試みましたが、米軍の物量・火力・航空支援の前に失敗します。補給の見通しが立たない中で持久は不可能と判断され、1943年2月上旬に段階的撤収が断行されました。ガダルカナル放棄は南太平洋での主導権を米軍に渡す転換点となり、その後のソロモン諸島・ニューギニア方面でも日本軍は受け身に回ります。ミッドウェーでの空母喪失に続き、ガダルカナルは人員・物資・熟練兵の消耗を決定的にし、太平洋戦争の戦局がアメリカに大きく傾く契機となったのです。

【正解】4. 太平洋戦争初の玉砕（全滅）を喫した
【解説】
アッツ島の戦いは、1943年5月11日の米軍上陸（作戦名「ランドクラブ」）から末期の5月29日未明にかけて展開され、日本守備隊は厳寒・濃霧・急峻な地形の中で孤立無援の戦いを強いられました。補給は途絶し、退路も望めない状況で、日本側は最後に総攻撃（いわゆる「万歳突撃」）を敢行し、将兵の大半が戦死し、捕虜はごくわずかにとどまりました。大本営はこの戦いを「玉砕」と公式発表し、これが太平洋戦争で初めての「玉砕（全滅）」事例として社会に強い衝撃を与えます。
本戦闘は、当時のアラスカ準州（合衆国領）で行われた数少ない地上戦でもあり、米軍側にも寒冷・疫病・地形による多数の非戦闘損耗が出ましたが、最終的に米軍は島を奪回しました。アッツ喪失により日本軍はアリューシャンでの拠点を失い、キスカ島もその後に放棄（撤収）へと向かいます。戦略的には北方の脅威を低減させた米軍が中部太平洋・北太平洋での反攻態勢を強化する一方、日本側は兵力・装備・熟練要員のさらなる消耗を余儀なくされ、以後の戦局にも陰を落とす結果となりました。

【正解】2. 壊滅的打撃を受け、制海権・制空権を失った
【解説】
マリアナ沖海戦（1944年6月19～20日）は、日本機動部隊が再建戦力を投入して米第58任務部隊に挑んだ大規模海空戦でしたが、結果は日本側の大敗でした。レーダー管制による防空とF6Fヘルキャットを主力とする米戦闘機隊、VT信管（近接信管）を用いた強力な対空砲火により、日本艦攻・艦爆は大編隊で迎撃され、いわゆる「マリアナの七面鳥撃ち」と称される一方的損害を被りました。さらに、米潜水艦の攻撃で装甲空母「大鳳」と「翔鶴」が相次いで沈没し、空母「飛鷹」も米艦載機の攻撃で失われます。
日本側は熟練搭乗員の欠乏、長距離攻撃による燃料逼迫、索敵・指揮統制の不備、被弾後の損傷管制の脆弱さが重なり、航空兵力と空母群の中核を喪失しました。これにより日本海軍は中部太平洋で制海権・制空権を回復不能なまでに失い、サイパン陥落（7月）を許してしまいます。マリアナの喪失は米軍B-29の本土爆撃拠点の確立を意味し、戦局は決定的に日本不利へと傾くことになりました。

【正解】4. 絶対国防圏の一角
解説
サイパン島は、日本軍が1943年後半に策定した「絶対国防圏（ぜったいこくぼうけん）」に含まれる要衝の一つと位置づけられていました。絶対国防圏とは、南方での劣勢が明らかになる中で、これ以上の後退を許さない最終防衛線を設定し、同線内を死守して戦争の長期化・講和の有利化を図るという構想です。北は千島・小笠原から、マリアナ（サイパン・テニアン・グアム）、カロリン（トラック）、西ニューギニア・ハルマヘラ方面へと連なる広域の線で、その中核がマリアナでした。
1944年6月15日にアメリカ軍がサイパンに上陸し、激戦の末、7月上旬には日本側の組織的抵抗が崩壊しました。サイパンの陥落は、絶対国防圏の破綻を意味するだけでなく、マリアナに建設された飛行場（サイパンのイスリー飛行場、テニアンのノース／ウェスト・フィールドなど）からB-29による本土空襲が可能となる決定的転機を生みました。その戦略的打撃は極めて大きく、国内世論と政局にも直結し、同年7月18日には東條英機内閣が総辞職に追い込まれます。つまり、サイパンは単なる島ではなく、日本の戦略思想上「絶対に守るべき線」の要であり、その喪失が以後の戦局悪化と本土空襲の現実化を加速させたのです。

【正解】3. 日本の無条件降伏まで戦い抜くこと
【解説】
カイロ宣言は、アメリカのルーズヴェルト大統領、イギリスのチャーチル首相、中華民国の蒋介石主席が会談後に公表した共同宣言で、対日戦争を「日本の無条件降伏まで継続する」ことを明確にうたいました。また、日本が中国から奪取した領土（満州・台湾〔Formosa〕・澎湖諸島）の返還、そして朝鮮の独立を「適当な時期に」実現する方針も示されました。これらは、連合国の対日終戦構想の骨格を成し、のちのポツダム宣言にも継承されます。
なお、会談自体は1943年11月22〜26日に開催され、宣言の公表は1943年12月1日です。年次について混同が生じやすいのですが、1944年ではなく1943年の出来事である点にご留意ください。いずれにせよ、カイロ宣言は日本が領土的戦果を維持したまま講和する余地を閉ざし、連合国の戦争目的を対日「無条件降伏」に統一した重要な政治文書でした。

【正解】3. 小磯国昭
【解説】
1944年7月、サイパン陥落とマリアナ沖海戦での敗北により、戦局は決定的に悪化し、軍・政・官界の責任追及が強まりました。これを受けて東条英機内閣は7月18日に総辞職し、7月22日に陸軍大将で朝鮮総督を務めた小磯国昭が首相に就任して新内閣を発足させます。小磯内閣は戦局の立て直しと総力戦体制の再編を掲げ、政治・軍事の意思決定機構の整理や物資動員の強化を試みましたが、制海権・制空権の喪失と補給困難という構造的劣勢を覆すことはできませんでした。結果として戦局はなお悪化を続け、国内の統制強化や動員拡大にもかかわらず、翌1945年4月には小磯内閣も行き詰まり総辞職に至ります。なお、選択肢の東久邇宮稔彦と鈴木貫太郎はいずれも終戦期の首相ですが、いずれも1945年の就任であり、本問の時期（1944年7月）には該当いたしません。

【正解】1. 神風特別攻撃隊による体当たり攻撃
【解説】
レイテ海戦（1944年10月23日〜26日）は、連合軍のフィリピン奪回作戦に対し、日本海軍が「捷一号作戦」を発動して挑んだ総力戦でした。この戦いで日本軍は、熟練搭乗員の枯渇と航空兵力の劣勢、米軍のレーダー管制と強力な対空火力の前に通常攻撃で有効打を与えることが難しくなっていました。こうした状況を打開するため、比島方面の航空戦力は「神風特別攻撃隊」を編成し、初めて組織的な体当たり攻撃を実施します。10月25日には、神風隊が米護衛空母群を攻撃し、護衛空母「セント・ロー」を撃沈、他数隻に損害を与えました。
もっとも、神風によって局地的・戦術的な戦果は生まれましたが、上陸阻止という戦略目的は達成できませんでした。海戦全体では戦艦「武蔵」沈没、空母「瑞鶴」ほか多数喪失など日本艦隊は壊滅的打撃を受け、以後の艦隊決戦能力を大きく失います。神風特攻は以後も継続され、本土空襲下の南西・南東方面や沖縄戦で多用されますが、物量と防空体制で優位な連合軍の戦略を覆すには至りませんでした。以上のように、レイテ海戦は日本軍が初めて組織的特攻を採用した転換点でありつつも、戦局そのものを逆転できなかった重要な節目であったといえます。

【正解】1. 1942（昭和17）年4月から

【解説】

日本本土への最初の空襲は、1942年4月18日のいわゆる「ドゥーリトル空襲」によって始まりました。米空母ホーネットから発艦したB-25爆撃機16機が東京・横浜・横須賀・名古屋・神戸などを小規模に爆撃し、物的被害は限定的でしたが、軍民に大きな心理的衝撃を与えました。この空襲は、日本側に本土防空体制の強化や兵力分散を迫り、戦略判断にも影響を及ぼしたとされます。

その後、1944年6月には中国本土の基地からB-29による本土爆撃が開始され、同年11月以降はマリアナ諸島（サイパン・テニアン・グアム）を拠点とする大規模かつ継続的な空襲が本格化します。1945年3月には東京大空襲に代表される焼夷弾による無差別爆撃が激化しますが、出発点はあくまで1942年4月のドゥーリトル空襲である点が重要です。

【正解】4. 約10万人
【解説】
東京大空襲（3月9日深夜〜10日未明、作戦名「ミーティングハウス」）は、マリアナ諸島の基地を発進したB-29が低高度で焼夷弾（M69など）を大量投下し、下町一帯（本所・深川・浅草周辺）に大規模な火災旋風（ファイアストーム）を発生させました。木造家屋が密集する都市構造と強風・乾燥が重なり、逃げ場のない市街地で火災が瞬く間に拡大した結果、一夜で約10万人が犠牲となりました（推計には幅があり、8万余〜10万超とする資料がありますが、一般には約10万人とされます）。被災面積は約40平方キロ以上、焼失家屋は数十万戸に達し、罹災者は100万人規模にのぼりました。
この空襲は、従来の高高度・精密爆撃から低高度・夜間の焼夷弾による面制圧へと戦術を転換した象徴的作戦で、以後の本土空襲は全国各都市に拡大していきます。東京大空襲は単独の非核攻撃としては史上最大級の死者を出し、都市と住民生活に壊滅的な被害を与えた出来事でした。