辛亥革命とロシア革命のことがよくわかる！クイズ10問

【正解】2

【解説】

日露戦争後（1905年）から第一次世界大戦勃発（1914年）にかけての時期、中国では清朝打倒を掲げる革命運動が高揚しました。その中心人物が孫文です。孫文は1905年に東京で中国同盟会（後の中国国民党の源流）を結成し、「民族・民権・民生」の三民主義を掲げて清朝の専制体制を打倒し、共和国を樹立することを目標に据えました。海外華僑や日本の支持者・留学生のネットワークを活用し、度重なる武装蜂起と宣伝活動を続け、やがて1911年の辛亥革命の成立へとつながっていきます。1912年には南京で中華民国臨時大総統に就任し、王朝体制から共和制への転換の象徴的存在となりました。

一方、袁世凱（選択肢1）は清末新政や北洋軍の実力者で、辛亥革命後は臨時大総統となるも、むしろ権力集中と皇帝即位の試みで反発を招きました。蒋介石（選択肢3）は孫文の後継者として1920年代に台頭し、北伐を主導した人物で、この設問の時期には指導者ではありません。張作霖（選択肢4）は満洲を支配した軍閥指導者で、革命側ではありません。以上から、正解は孫文となります。

【正解】4

【解説】

三民主義は、孫文が1905年に東京で中国同盟会を結成した際の綱領で、「民族」「民権」「民生」の三原理から成ります。第一に「民族」は、列強の半植民地支配からの脱却と満洲族の清朝打倒を通じた「中国民族の独立」を意味しました。第二に「民権」は、人民主権の確立、すなわち専制の否定と憲法・議会・選挙などの近代的政治制度を整える「民権の伸長」を指します。第三に「民生」は、人民の生活を安定させるための経済・社会政策で、土地制度の是正（地価税・平均地権などヘンリー・ジョージの影響）や貧富の格差緩和を意図した「民生の安定」を掲げました。

選択肢1の「連ソ・容共・扶助工農」は1924年以降の孫文の三大政策で、時期も内容も異なります。選択肢2の「自由・平等・博愛」はフランス革命の合言葉で、中国革命の綱領そのものではありません。選択肢3の「富国強兵・殖産興業・文明開化」は明治日本の国家目標で、中国同盟会のスローガンではありません。以上より、正解は「民族の独立・民権の伸長・民生の安定」です。

【正解】3

【解説】

1912年1月1日、南京で孫文が臨時大総統に就任し、清朝の専制体制に終止符を打つ新国家として「中華民国」の建国が宣言されました。これは1911年の辛亥革命の成果を受けたもので、漢族を中心とする諸民族が列強の干渉と清朝支配から脱し、共和政体を採用することを明確にした出来事です。翌2月12日には宣統帝溥儀が退位し、王朝時代から共和制への転換が制度的にも確定していきます。その後、臨時政府の首都は一時的に南京から北京へ移され、権力は袁世凱へと移行しますが、国号としての「中華民国」は以後の中国近代政治の枠組みを示す重要な意義を持ちました。

なお、選択肢4の「中華人民共和国」は1949年に北京で成立した別の国家で、時期も体制も異なります。選択肢2の「大清国」は清朝の正式国号で、辛亥革命によって終焉を迎えました。選択肢1の「中華帝国」は歴史上一般的な国号ではなく、この文脈には該当しません。以上より、正解は「中華民国」です。

【正解】1

【解説】

この政変は「辛亥革命」と呼ばれます。辛亥は干支の年号で1911年に当たり、同年10月10日の武昌起義を起点に各省が次々と独立を宣言し、清朝打倒の革命が全国へ波及しました。1912年1月1日には南京で中華民国が建国され、孫文が臨時大総統に就任します。続いて同年2月12日に宣統帝溥儀が退位し、約260年続いた清王朝は正式に終焉しました。これにより、中国は専制の王朝体制から共和政体へと大きく転換し、近代国家への出発点が形づくられたのです。

なお、選択肢2の義和団事件は1900年の反外国運動で清朝時代の出来事です。選択肢3の五四運動は1919年、対独講和と文化革新をめぐる学生・市民運動で、辛亥革命より後の出来事です。選択肢4の二次革命は1913年に孫文らが袁世凱に対抗して起こした武装蜂起で、辛亥革命ののちの政争に属します。以上より、正解は辛亥革命です。

【正解】3

【解説】

1905年の政変は「第一次ロシア革命（1905年革命）」と呼ばれます。発端は、戦時下での物価高や労働環境の悪化に加え、専制体制への不満が蓄積していたところに、1905年1月の「血の日曜日事件」で平和的請願行進が軍に弾圧されたことでした。これを機に全国的なゼネストや農村蜂起、軍隊の反乱（黒海艦隊ポチョムキン号の反乱など）が広がり、都市では労働者評議会（ソヴィエト）が組織されるなど、体制を大きく揺さぶる運動に発展しました。

圧力を受けたニコライ2世は同年10月、「十月宣言」を出して言論・集会の自由の一部容認と国会（ドゥーマ）開設を約束し、形式的には立憲的枠組みが導入されます。しかし1906年の「基本法」で皇帝大権を再確認し、ストルイピンによる弾圧と改革を通じて運動は鎮静化しました。第一次ロシア革命は専制を直ちに打倒こそしませんでしたが、後の1917年の二月革命・十月革命へとつながる重要な転回点となりました。なお、選択肢2の「血の日曜日事件」は革命勃発の直接の契機であり、選択肢1と4の二月革命・十月革命はいずれも1917年の出来事で、時期も性格も異なります。

【正解】3

【解説】

正解は「ロシア二月革命」です。1917年2月（ロシア暦。新暦では3月）に首都ペトログラードでパン不足や戦時インフレに抗議する女性労働者のデモが発端となり、全市的なストライキへと拡大しました。やがて守備兵が鎮圧を拒否して反乱に加わり、帝政の支柱が崩壊します。その結果、ツァーリ（皇帝）ニコライ2世は退位し、国家の最高権力はドゥーマ（議会）の臨時委員会を母体とする「臨時政府」に移りました。同時に、労働者・兵士による評議会（ソヴィエト）も再建され、臨時政府とペトログラード・ソヴィエトの「二重権力」状態が生まれます。臨時政府は戦争継続や土地問題の先送りで支持を失い、その矛盾が同年の「十月革命」につながっていきました。

選択肢1の十月革命は同年後半にボリシェヴィキが権力を掌握した出来事で、二月革命の後段です。選択肢2の第一次ロシア革命は1905年の出来事で時期が異なります。選択肢4のコルニーロフ事件は1917年8月の軍事クーデター未遂で、二月革命後の政治危機の一つです。

【正解】4

【解説】

十月革命（旧暦1917年10月、新暦11月）は、ペトログラードでボルシュヴィキが臨時政府を武力で打倒し、ソヴィエト政権（人民委員会議）を樹立した出来事です。その最高指導者がレーニンです。レーニンは四月テーゼで「すべての権力をソヴィエトへ」を掲げ、二重権力下での漸次的な権力移行ではなく、蜂起による政権奪取を主張しました。中央委員会での蜂起決議を主導し、スモーリヌイ学院を拠点に蜂起の政治的・戦略的指導を行いました。蜂起成功後は人民委員会議議長として、「平和に関する布告」「土地に関する布告」を発し、戦争終結交渉と地主制解体を推し進めました。

他方、トロツキー（選択肢1）は軍事革命委員会の責任者として実務面で蜂起を指揮しましたが、最高指導者ではありません。ケレンスキー（選択肢2）は臨時政府首班で、蜂起によって失脚しました。スターリン（選択肢3）は党中央の一員でしたが、この段階で革命の最高指導者ではありません。以上より、正解はレーニンです。

【正解】2

【解説】

十月革命後に成立した政権は、労働者・兵士・農民の評議会であるソヴィエトを国家権力の基礎とする社会主義政権でした。最高機関として全ロシア・ソヴィエト大会が置かれ、行政の中心はレーニンを議長とする人民委員会議でした。発足直後に「平和に関する布告」「土地に関する布告」を出し、大土地所有の廃止、銀行・主要産業の国有化など、社会主義的な経済・社会改革を推し進めます。これは持続的な統治構造としては世界最初の社会主義国家であった点に大きな意義があります。

一方で、臨時政府期の自由主義的議会主義とは異なり、ボルシェヴィキ（一党）主導で憲法制定会議を解散し、治安維持のため非常機関（チェーカー）を設置するなど、非常時体制の側面も強まりました。選択肢1の立憲君主制は帝政の延長にあたり、革命の方向と矛盾します。選択肢3の「議会中心」は二月革命期の志向に近いものの、十月後の体制とは異なります。選択肢4の軍事独裁は政体の本質ではなく、ボルシェヴィキ政権の性格を正確に表していません。以上より、正解は「ソヴィエトを基礎とする世界初の社会主義政権」です。

【正解】1

【解説】

正解はブレスト＝リトフスク条約です。1918年3月3日、ロシア革命後に成立したソヴィエト政府は、第一次世界大戦からの離脱を最優先し、ドイツ帝国・オーストリア＝ハンガリー（および同盟国）とブレスト＝リトフスクで単独講和を結びました。レーニンは国内の戦争疲弊と食糧危機を収拾するため「いかなる犠牲を払っても講和を」という方針を取り、トロツキーの「戦争も講和もせず」の戦術が頓挫したのち、ドイツ軍の進撃に押されて厳しい条件を受け入れました。条約により、ロシアはポーランドやバルト三国、ウクライナなど広大な領域の喪失・承認を余儀なくされ、資源と人口の大きな部分を失いましたが、その代償と引き換えに戦線からの即時離脱を実現しました。

なお、ヴェルサイユ条約（選択肢2）は1919年に連合国とドイツの間で結ばれた講和条約です。サン＝ジェルマン条約（選択肢3）は1919年に連合国とオーストリアの間で締結されたものです。ラパッロ条約（選択肢4）は1922年にドイツとソヴィエト・ロシアが国交回復・相互請求権放棄などを定めた条約で、第一次世界大戦の講和条約ではありません。以上の点から、1918年の単独講和はブレスト＝リトフスク条約といいます。

【正解】3

【解説】

十月革命後、ボリシェヴィキ政権はソヴィエト（評議会）を名目上の基礎としつつ、実際にはボリシェヴィキ一党による統治を強めました。1918年1月に憲法制定会議を武力で解散し、反対勢力の合法的な政治参加の道を閉ざしました。さらに、非常警察機関チェーカーを設置して反対派の新聞・結社を取り締まり、内戦期には「戦時共産主義」の下で厳格な統制と反乱鎮圧（例：クロンシュタット水兵反乱の鎮圧）を行いました。1921年には党内派閥の禁止を決議し、党の統一と指導性を絶対化しました。これらの措置により、ボリシェヴィキ（のちの共産党）による一党独裁体制が確立し、国家と党が緊密に結びつく政治体制が形成されました。以上の点から、選択肢3が適切です。