
白泥染付金彩薄文蓋物 サントリー美術館 (Wikipedia)
【正解】2
【解説】
正解は尾形乾山(おがた けんざん)です。乾山(1663–1743)は琳派の絵師・尾形光琳の弟で、京都で野々村仁清に師事し、本格的に成形と上絵付の技法を学びました。のちに京都・鳴滝に窯(乾山窯)を築き、さらに粟田口などへ移しながら制作を続け、碗・皿・向付・香合など多様な器形に、鉄絵や白化粧、刷毛目、印判、色絵などを自在に組み合わせました。草花や扇面、幾何学文様などの軽やかな意匠は、余白を活かす構成と即興的な筆致が持ち味で、「洒脱」「変化に富む」デザインとして高く評価されます。兄・光琳の下絵を得た合作や、器面を絵画空間として扱う琳派的センスも特徴で、銘「乾山」を書き付けたり印章を捺した作例も多く、近世の「作家性」を強く示しました。
一方、1の尾形光琳は琳派の絵師で陶工ではありません。3の酒井田柿右衛門は肥前有田の色絵磁器(柿右衛門様式)で知られ、京都の京焼とは系統が異なります。4の野々村仁清は乾山の師で、京焼色絵陶器の完成者ですが、設問の「仁清から学んで洒脱なデザインを展開した人物」には当てはまりません。したがって、答えは2の尾形乾山となります。