建武の新政と南北朝の動乱のことがよくわかる！クイズ10問

正解：4

解説：

後醍醐天皇は1318年に即位すると、北条得宗家が掌握する鎌倉幕府の支配を打破し、天皇親政を実現することを目標に掲げました。そのため、側近の日野資朝・日野俊基らと連携し、まず1324年（正中元年）に最初の倒幕計画を進めましたが、発覚して失敗し「正中の変」と呼ばれます。続いて1331年（元弘元年）には再度挙兵し、笠置山に拠って兵を募るなど本格的な行動に移しました（元弘の変）。この過程で一時は捕縛されて隠岐に配流されますが、楠木正成の蜂起、新田義貞の進撃、さらに足利尊氏の離反など各地の反幕府勢力が連動し、1333年に鎌倉幕府は滅亡します。

以上より、14世紀はじめの後醍醐天皇の中心的行動は、複数回にわたる「倒幕の計画」を立て実行に移したことであり、最終的に建武の新政へとつながる大転換をもたらしたといえます。なお、選択肢1の永仁の徳政令（1297年）は北条貞時の施策、2の防塁整備は元寇期（13世紀後半）の対策、3は幕府支援であり後醍醐天皇の方針とは逆です。

正解：3

解説：

足利尊氏は当初、鎌倉幕府から畿内の反幕勢力（楠木正成ら）を討つための大将として西上しました。しかし現地では、河内・山城を中心に反幕の機運が急速に高まり、得宗専制に対する武士や寺社・公家の不満が広く共有されていました。尊氏はこの情勢を見極め、幕府方としての鎮圧から一転して倒幕へと立場を転じます。そして有力御家人・在地武士に呼びかけて兵を糾合し、1333年頃には京都の幕府拠点である六波羅探題（北・南の二庁）を攻撃・陥落させました。六波羅探題は西国支配と京都監察の要であり、その崩壊は幕府統治の中枢を失わせる決定打でした。

正解：2

解説：

鎌倉幕府滅亡の決定打となったのは、1333年（元弘3／正慶2）5月の鎌倉攻めです。六波羅探題の崩壊で西国支配を失った幕府は動揺し、東国では新田義貞が挙兵して関東一円の反幕勢力を糾合しました。義貞軍は分倍河原で幕府軍を破って南下し、稲村ヶ崎方面や極楽寺坂・化粧坂など複数の要地から鎌倉市中へ突入します。市街戦は激烈を究め、最終局面では鶴岡八幡宮の東南に位置する東勝寺に得宗家の本陣が集結しました。ここで北条高時は一族・重臣ら数百名とともに自害し（東勝寺合戦）、事実上の中枢が消滅して幕府は滅亡します。

この結果、1180年代以降続いた鎌倉武家政権は終焉を迎え、後醍醐天皇による建武の新政へと移行しました。なお、選択肢1は分倍河原の勝敗を逆転させた誤り、選択肢3は史実と反し、尊氏はのちに独自政権樹立へ向かいます。選択肢4の千早城攻防は幕府に大打撃を与えましたが、最終決戦ではなく「東勝寺での集団自害」をもって幕府崩壊に至った点が重要です。

正解：1

解説：

1333年に鎌倉幕府が滅亡すると、後醍醐天皇は京都へ還幸し、翌1334年に元号を「建武」と改めて天皇親政を開始します。これが「建武の新政」です。新政の基本方針は、武家政権下で崩れた公家中心の秩序を回復し、古代律令的な統治理念に立ち返ることでした。具体的には、綸旨にもとづく所領の回復・安堵を進め、論功行賞で功臣を任官・昇叙し、朝廷機構の整備や官職・位階の再編に取り組みます。

しかし実務面では、戦功の判定や恩賞配分が遅滞・不公平と受け止められ、武士層の不満が拡大しました。公家や寺社を重んじる姿勢が強く、在地武士の所領確保や軍事・警察権の整備が十分ではなかったことも反発を招きます。こうした矛盾の中で、足利尊氏が離反して対抗勢力を形成し、1336年には京都を追われた後醍醐天皇が吉野へ移って南朝を開く事態となりました。したがって、1334年に始まったのは、京都を拠点とする天皇親政「建武の新政」であり、その理想と限界が後の南北朝内乱へとつながっていくのです。

正解：3

解説：

1335年12月、新田貞義（新田義貞）に対する尊氏追討の宣旨は、建武政権と足利尊氏の決定的な対立の始まりでした。尊氏はこれに屈せず、むしろ朝廷と対決する意志を固め、東国で兵を糾合して新田軍と各地で衝突します。やがて尊氏は弟・直義らとともに西上して京都方面へ進出し、一時は入京に成功しますが、北畠顕家ら奥羽勢の上洛や楠木正成の奮戦により劣勢となって九州へと転進します。

九州では少弐・大友らの支援を得て勢力を再建し、1336年春の多々良浜合戦で朝廷方を破って主導権を回復します。そのまま瀬戸内を東進し、同年の湊川合戦で楠木正成・新田義貞らを撃破して再度の入京を果たしました。こうして尊氏と建武政権の対立は全面戦争へと発展し、後醍醐天皇は吉野へ移って南朝を樹立、南北朝の内乱へと局面が移行していきます。したがって宣旨以後の戦局は、尊氏が対決を選び新田軍と実戦で雌雄を決しつつ、九州での再起と畿内への逆襲を経て一気に主導権を握っていく流れであったといえます。

正解：4

解説：

鎌倉幕府滅亡後、建武の新政に対する不満が武士層で拡大するなか、足利尊氏は朝廷軍（建武政権側）と各地で戦い、1336年に畿内で勝利を重ねて京都を制しました。ここで尊氏は北朝の初代となる光明天皇を擁立し、武家政権の基本方針を示す法令「建武式目（けんむしきもく）」〔17カ条〕を公布します。建武式目は、公家優位に傾いた建武新政の反省から、武家統治の原理—所領紛争処理、恩賞の基準、社寺保護、礼法・倹約の励行など—を明文化し、以後の政務運営の枠組みを与えました。

この段階で京都に武家政権の中枢が再建され、のち1338年に尊氏が征夷大将軍に任じられて体制が正式化します。一般にこの一連の流れをもって「室町幕府の成立」と捉えます。なお「室町」の名称は、三代将軍義満の花の御所が京都の室町小路に置かれたことに由来します。選択肢2の「鎌倉での将軍就任」や御成敗式目は北条政権期の出来事であり、また選択肢1・3のような院政復活や講和後の鎌倉新政という事実はありません。

正解：3

解説：

1336年、足利尊氏の軍勢に敗れた後醍醐天皇は、京都での統治継続を断念し、同年末に大和国吉野（現在の奈良県吉野町）へ移りました。ここで天皇は、自らが真の天皇であると主張し、南朝（吉野朝廷）を樹立します。南朝側は三種の神器を保持していることを正統性の根拠とし、京都で尊氏が擁立した北朝（光明天皇）に対抗しました。これにより、日本は南北二つの朝廷が併立する南北朝時代（1336〜1392年）へと突入します。

後醍醐天皇の吉野移行は、建武の新政の理念を吉野で継承する政治的宣言であり、北畠顕家・楠木氏・新田氏らの支持を糾合する呼びかけでもありました。山地の吉野は軍事的に防衛しやすく、寺社勢力の支援も得やすい拠点でした。なお、選択肢1は北朝を承認する内容で史実と逆、選択肢2の和睦・政権再建も事実無根、選択肢4の出家・隠棲も行っておりません。したがって、京都脱出後に吉野へ逃れて正統を主張したことが、後醍醐天皇の決定的行動であったといえます。

正解：2

解説：

南北朝の対立は、建武政権が動揺する中で足利尊氏が京都を制圧し、1336年ののちに北朝を立てたことに始まります。後醍醐天皇は尊氏に敗れて京都を脱出し、大和国吉野で南朝（吉野朝廷）を開き、自らの正統を主張しました。これに対し尊氏は京都で光厳上皇の弟である光明天皇を即位させ、京都方＝北朝の権威を整えます。こうして南朝（後醍醐）と北朝（光明）が同時並立し、全国規模の内乱へと発展しました。

南朝側は三種の神器の保持を正統性の根拠とし、楠木正成・新田義貞・北畠顕家らの武家勢力がこれを支えます。北朝側は室町幕府を背景にした武家政権の軍事・財政基盤を強みとして対抗しました。のちに後醍醐崩御後は後村上天皇らへ継承され、北朝側も光明以後に皇統が続きますが、対立の起点をなした「二人」は**後醍醐天皇（南）と光明天皇（北）**である点が重要です。最終的には1392年、足利義満の調停で南北朝合一が実現し、長期の動乱は収束しました。

正解：4

解説：

観応の擾乱（1350〜1352年）は、室町幕府内部での**足利尊氏（将軍）と足利直義（弟・政務中枢）の権力争いから発した内紛です。背景には、恩賞配分や所領処理・人事をめぐる路線対立があり、尊氏を支えた高師直（こうのもろなお）**ら執事層と、法度・裁判を重んじた直義系の官僚・武士団のあいだで亀裂が深まりました。

1349年ごろに直義が失脚すると、直義は挽回のために挙兵し、一時は南朝と手を結んで尊氏方と京都・東国で激しく戦います。1351年には直義方が京都を制して高師直らを誅殺し優勢になりますが、やがて尊氏が反攻して直義は敗走します。1352年、直義は鎌倉で没し（急死で、毒殺説もあります）、擾乱はいったん収束しました。

この内紛は、南北朝の対立に幕府内の分裂が重なったため、全国の戦線を複雑化させ、室町幕府の統治基盤を大きく弱体化させました。以後も守護大名間の権力抗争が続き、室町政治の不安定さを象徴する事件として位置づけられます。

正解：3

解説：

南北朝の動乱は1392年（明徳3／元中9）に終結します。足利義満は、山名氏ら有力守護の抑え込みや公武間の調整を通じて軍事・政治上の主導権を掌握し、南朝の後亀山天皇と北朝の後小松天皇の間で講和をまとめました。いわゆる「明徳の和約」により、後亀山天皇が三種の神器を後小松天皇に返還して京都に還幸し、元号も北朝側の明徳に統一されます。これによって南北二朝の併立は解消され、形式上の朝廷は一本化されました。

講和条件としては、大覚寺統（南朝）と持明院統（北朝）が両統迭立（交替即位）する取り決めが伝えられますが、実際には北朝系で継承が続き、南朝の政治的復権は実現しませんでした。以後も一部の南朝残存勢力（後南朝）が抵抗を続けますが、全国規模の内乱はこの1392年をもって収束したとみなします。以上から、動乱の終結は「1392年、三代将軍足利義満のとき」が正解です。