太平洋戦争での緒戦の勝利は、東南アジアにどんな影響を与えましたか？

— 正解 —
4. 白人の植民地支配に苦しんできた東南アジアの人々に独立への夢と希望を与えた。
解説
1941年末から42年前半にかけての日本軍の連勝（マレー半島進攻とシンガポール陥落、蘭印〔インドネシア〕占領、フィリピンやビルマの制圧など）は、長らく続いてきた欧米の植民地支配は「軍事的にも打ち破り得る」という現実を可視化しました。これにより、「白人支配は不敗」という神話が崩れ、東南アジア各地で民族主義の気運が一斉に高まります。インドネシアではスカルノやハッタらが大衆動員の基盤を拡大し、戦後すぐに独立宣言へとつながりました。ビルマ（現ミャンマー）でも独立政権樹立の試みが行われ、ベトナムでも既存の宗主国の権威が動揺し、のちの独立宣言・独立戦争の心理的土台が形成されます。フィリピンやマラヤでも、独立政体や将来の主権回復を見据えた動きが強まっていきました。
もっとも、日本の占領統治は資源徴発や労働動員、食糧不足など深刻な苦難ももたらし、「解放」の名の下での抑圧や矛盾も少なくありませんでした。それでも緒戦の日本勝利が与えた衝撃は、欧米植民地体制の不可侵性を心理的に揺さぶり、戦後の独立ラッシュを後押しする強い追い風となりました。結果として、戦時中に芽生えた「自分たちの国は自分たちの手で」という意識が、終戦直後の独立宣言や独立戦争へと連続していったのです。以上の経緯から、日本の緒戦勝利は東南アジアの人々に独立への夢と希望を与えた、と評価できます。

— 正解 —
2. 欧米諸国に代わる日本の支配に対して、次第に民族的抵抗の動きが高まった。
解説
緒戦の日本軍の連勝は欧米植民地の威信を揺るがし、一時的には「解放」への期待を生みましたが、実際の占領統治は資源・食糧の強制的な徴発、労働動員（いわゆるロームシャ）、検閲や治安弾圧などを伴い、人々の生活を圧迫しました。その結果、初期の協力や期待は次第に不信と反発へと転じ、各地で民族的抵抗が拡大します。
ビルマでは日本の後ろ盾で1943年に独立が宣言されましたが、軍政や徴発への不満からアウンサンらは1945年に反日へ転じ、反ファシスト人民自由連盟のもとで蜂起しました。フィリピンではラウレル政権下でもフクバラハップなどのゲリラが各地で抗日戦を継続します。マラヤではマレー人民抗日軍（MPAJA）が山中で持久戦を展開しました。ベトナムでは日本の統治と1945年初頭の飢饉を背景に、ベトミンの勢力が拡大し、8月には独立宣言へと結実します。インドネシアでも大規模な労働動員や統制が社会に深い傷痕を残しつつ、青年層やPETA（郷土防衛義勇軍）形成などを通じて戦後の独立闘争の人的・組織的基盤が育ちました。