明治新政府の発足のことがよくわかる！クイズ10問

正解：3

解説

版籍奉還とは、明治新政府のもとで旧来の大名（藩主）が自らの支配基盤を国家に返上し、中央集権化を進めるための大改革を指します。ここでいう「版」は領地、「籍」は本来「人民（戸籍）」を意味し、領地と人民を天皇（＝新政府）に返すことで、藩主の私的支配から国家による公的支配へと移行させる狙いがありました。なお、ご提示の正解文中の「籍」は本来「人民（戸籍）」を指す語であることを補足いたします。

実施は明治2年（1869年）に進み、とくに薩摩・長州・土佐・肥前の四藩が先導して願い出たことが契機になりました。返上後、旧藩主は直ちに排除されたわけではなく、「知藩事（ちはんじ）」として引き続き藩政を担いましたが、徴税・軍事・人事などの実権は段階的に中央へ集中していきます。この流れは最終的に明治4年（1871年）の廃藩置県へとつながり、全国的な府県制の確立によって、近代国家としての統一的な行政・財政・軍事体制が整えられていきました。以上のように、版籍奉還は江戸時代の封建的支配から近代的中央集権国家への転換を準備した決定的な一歩であったといえます。

正解：2

解説

版籍奉還（明治2年／1869年）ののち、旧来の藩主は私的領主としての身分をあらため、「知藩事（ちはんじ）」という公的行政官に任命されました。知藩事は太政官のもとで任命・罷免される国家官吏であり、領地・人民（版・籍）は天皇（新政府）に属するという原則の上に立って、各藩（版図）を統治する立場へと位置づけ直されました。これは、藩主の世襲的・私的支配から、中央政府の監督下にある公的支配へ移行させるための過渡措置でした。

知藩事のもとでも、当面は旧藩の枠組みが温存され、旧藩主が引き続き地域統治を担いましたが、徴税・軍制・人事・交通などの重要分野は次第に中央に集権化されていきます。こうした中央集権の徹底は、明治4年（1871年）の廃藩置県で完成し、知藩事は罷免され、各地には府知事・県令が派遣されました。なお、旧藩主たちはのちに華族制度の下で公侯伯子男などの爵位を与えられますが、これは廃藩置県後の措置であり、版籍奉還直後に与えられた身分は「知藩事」であったことがポイントです。

【正解】3

解説

明治新政府は、版籍奉還・廃藩置県によって旧来の藩兵を解体し、軍事力を中央に一本化する必要に迫られました。そこで1871年（明治4）に政府直属の常備精鋭部隊として御親兵を編成します。御親兵は薩摩・長州・土佐などの精兵を中核に置き、皇城・政府要地の警衛と国内の不穏・反乱の抑えを担いました。これは「藩の軍事」を「国家の軍事」へ切り替える過渡的装置であり、翌1872年（明治5）には近衛兵へと改編され、さらに1873年（明治6）の徴兵令による国民皆兵の常備軍整備へとつながっていきます。

選択肢1・2のように藩兵や府県軍を温存・併存させる方式では、分権的で内戦リスクが高く、中央主権の確立に逆行します。選択肢4の「外国人傭兵のみ」は主権や財政の問題が大きく、当時の日本は軍事顧問の招聘はしても、国家中枢の常備戦力を外国人で置き換えることはありませんでした。御親兵の創設は、近代日本の軍制を中央集権的に立ち上げる決定的手段だったのです。

正解：2

解説

「廃藩置県」は、明治4年（1871年）に旧来の藩をすべて廃止して、中央政府直轄の「府・県」に再編した大改革を指します。版籍奉還（1869年）で領地と人民が形式的に天皇（新政府）に返されたのちも、地域統治はなお旧藩単位で残っていました。そこで政府は、知藩事（旧藩主）を罷免し、中央が任命する府知事・県令を派遣して、行政・財政・軍事の権限を一気に中央へ集中させました。これにより、封建的な領主支配から、統一的な近代官僚制による地方行政へと転換が進みます。

実施直後は多数の県（当初は300余り）に細分されましたが、同年中から統合が進み、のちに全国的な府県制として整えられていきます。廃藩置県は、前年に創設された政府直属部隊（御親兵）を背景に円滑に断行され、徴税や治安、軍制・交通・教育などの政策を中央基準で実施できる体制を生みました。結果として、近代国家の基盤である統一的な行政区画と中央集権の仕組みが確立していったのです。

正解：3

解説

太政官の三院制とは、「正院・左院・右院」に再編した明治初期の中央官制を指します。正院は太政大臣・左右大臣・参議からなる最高意思決定・統轄機関で、国家の基本方針を決定する中枢でした。左院は主として立法・諮問機能を担い、法令案や制度改正の審議・建議を行いました。右院は行政執行部で、外務・大蔵・兵部・文部など各省を統括し、政策の実施を担いました。これにより、意思決定（正院）―立法審議（左院）―行政執行（右院）の分担が明確化され、中央集権的な統治体制が整えられていきます。

なお、維新直後には「政体書」に基づく行政官・議政官・刑法官という区分も存在しましたが、三院制はその後の再編の結果として確立したものです。そして廃藩置県（1871年）などの中央集権化を推し進める制度的な受け皿となり、最終的には1885年の内閣制度創設により太政官制そのものが廃止され、近代的な内閣制へと移行していきます。

正解：3

解説

明治新政府は、藩兵に依存した旧来の軍制から脱却し、中央集権のもとで全国的に統一された常備軍を整える必要に迫られました。そこで公布されたのが徴兵令（1873〈明治6〉年）です。徴兵令は、満20歳に達した男子を原則として兵役対象とし、抽選により現役・後備などに編入する仕組みを定めました。現役期間は当初おおむね3年現役＋4年後備が基本とされ、地域ごとに置かれた鎮台（のちの師団）に所属して訓練・勤務を行いました。

この制度により、軍隊は特定の身分（武士）に限定されず、国民国家の枠組みの中で広く国民から構成される常備軍へと転換しました。なお、当初は身代金や代人制度などの免役規定も存在し、負担の不公平感が「血税一揆」と呼ばれる反発を各地で招きましたが、運用の改正が進むにつれて制度は定着していきます。徴兵令は、その後の軍制整備（近衛・師団編成、軍学校の設置、軍備近代化）を支える基盤となり、近代日本の国家体制を下支えする重要な政策でした。

正解：4

解説

明治新政府は、江戸時代の封建的身分秩序（公家・大名・武士・百姓・町人など）を解体し、大名と公家を「華族」、武士を「士族」、農工商ら庶民を「平民」という三つの新たな呼称へ再編しました。まず明治2年（1869）に公家と大名を統合して華族を創設し、版籍奉還の流れの中で武士層は士族として区分され、一般庶民は平民とされます。これにより、身分に基づく私的支配から、国家の**国民（臣民）**として把握する近代的原理へと転換が進みました。

制度面では、明治3年（1870）の平民苗字許可令、明治8年（1875）の平民苗字必称義務などにより、平民の法的地位や社会的行動の範囲が拡大します。さらに明治4年（1871）の解放令により、えた・非人と呼ばれた被差別身分は法的に新平民とされました（ただし差別は社会的に残存しました）。一方で、旧武士層には家禄や賞典禄が与えられましたが、明治9年（1876）の秩禄処分で最終的に廃止され、同年の廃刀令で帯刀特権も失われます。

このように、三分類（華族・士族・平民）は、封建的な身分秩序を法制上解体し、四民平等の理念に近づけるための過渡的な枠組みでした。以後、戸籍・徴兵・教育などの近代国家制度が全国に及ぶことで、身分によらない統一的な国民編成が進んでいきます。

正解：3

解説

明治政府は、旧武士（士族）や旧公家に対して支給していた恒常的な俸禄（秩禄）が新国家の財政を大きく圧迫していることを重く見て、明治6年（1873年）に**「秩禄奉還の法」を制定しました。これは、受給者が自発的に俸禄を返上（奉還）し、その代償として金禄公債証書（公債）**を受け取る仕組みで、毎年の歳出に計上され続ける固定費を将来利払い中心の負担へと転換し、財政の見通しを改善する狙いがありました。

この措置は、版籍奉還・廃藩置県で中央集権化が進む中、地租改正（1873年）と並んで財政構造を立て直す重要な柱でした。もっとも、公債の利子収入だけでは生活が不安定になる士族も多く、政府は士族授産（殖産興業や農業・商工業への転身支援）を促しましたが、事業に不慣れなため失敗も少なくなく、「士族の商法」と揶揄される事例も見られました。

その後、明治9年（1876年）には**「秩禄処分」によって俸禄の一律全廃**が断行され、未奉還分も強制的に公債へ転換されました。これにより、武士身分に基づく恒常給付は完全に終わり、近代国家の財政運営へと本格的に移行していきます。ただし、この一連の改革は士族層の不満を高め、のちの士族反乱の背景の一つともなりました。

正解：1

解説

明治9年（1876年）、政府は秩禄処分を断行し、武士や公家に恒常的に支給していた俸禄（家禄・賞典禄）を全面的に廃止しました。その代替として交付されたのが、利子が付く国債である金禄公債証書（きんろくこうさいしょうしょ）です。これにより、毎年の歳出として計上され続ける俸禄を、公債の利払いと償還へと切り替え、国家財政の恒常負担を軽減する狙いがありました。なお、表記は一般に「金禄公債証書（“禄”）」とされます。

この措置に先立ち、明治6年（1873年）には受給者が任意に俸禄を返上して公債に替える秩禄奉還の法が整備されていましたが、1876年の秩禄処分では未奉還分も強制的に公債化されました。結果として、旧武士層の収入は公債の利子が中心となり、現金収入の不安定化や投機的売却による資産の目減りなどの問題が生じます。政府はこれに対応して士族授産（農業・開墾・商工業への転業支援）を推進しましたが、必ずしも成功ばかりではなく、士族の不満は士族反乱の背景の一つともなりました。

以上のように、金禄公債証書の交付は、封建的な恒常給付を終わらせて近代的な財政運営へ転換するうえで重要な一歩であり、地租改正などと並ぶ財政改革の中核をなした政策でした。

正解：3

解説

内務省は、廃藩置県後に中央集権体制を実務面で支える「国内行政の総元締め」として、国内の治安維持と地方統治の統括を主目的に設置されました（明治6年・1873年）。トップには内務卿・大久保利通が就き、警察行政（警保寮の統括、翌明治7年には東京に警視庁を設置）、府県の監督、戸籍・地理・衛生・土木・勧業（のちに農商務省へ移管）など、国内の要となる機能を一手に担いました。

とくに重要なのが治安警察機能の整備です。戊辰戦争後もしばらく各地に不穏が残り、自由民権運動の盛り上がりや士族反乱の兆候もある中で、政府は迅速・一元的に秩序を維持できる体制を必要としていました。内務省のもとで警察力を中央集権化したことにより、集会・取締・検閲などの実務が統合され、地方官（府知事・県令）を通じて全国を機動的に統治できるようになりました。

このように、内務省は**「国内の治安維持と内政の統括」**を核心任務とし、近代国家としての行政の骨格づくりに大きく貢献した省庁であったといえます。