戊辰戦争のことがよくわかる！クイズ5問

正解：3
解説
鳥羽・伏見の戦いは、戊辰戦争の開幕を告げる決定的会戦で、京都南部の鳥羽・伏見一帯で行われました。期日は旧暦で慶応4年1月3〜6日（西暦では1868年1月27〜31日）であり、のちに1868年は「明治元年」と改元されたため、年表上で混同が生じやすい出来事でもあります。
背景には、1867年12月の「王政復古の大号令」後、新体制（新政府）と旧幕府の主導権争いが一気に表面化したことがあります。徳川慶喜は体制の巻き返しを図って軍を動かし、京都方面に進出しましたが、新政府軍（主力は薩摩・長州・土佐など）は鳥羽・伏見の街道筋に防衛線を敷いて迎え撃ちました。
戦闘の推移では、新政府軍が近代的な銃砲と組織的な指揮・戦術で優位に立ち、旧幕府軍は次第に劣勢となりました。特に戦場で「錦の御旗（天皇親征を示す旗）」が掲げられ、新政府側が“官軍”としての大義名分を明確にしたことは、諸藩の去就に決定的な影響を与えました。この結果、旧幕府軍から離反・中立化する勢力が増え、戦局は一気に新政府軍有利へと傾きます。
敗北を受けて慶喜は大坂城を退去して江戸へ退き、これが江戸無血開城に向かう政治過程の出発点となりました。以後、戦いは会津戦争・北越戦争・箱館戦争へと連鎖し、全国規模の戊辰戦争へ拡大していきます。鳥羽・伏見の勝利は、新政府樹立の現実性を国内外に示し、明治新国家形成の流れを決定づけた分水嶺であったと評価されます。

正解：2
解説
江戸城無血開城は、戊辰戦争のさなかに江戸の市街戦を回避し、多数の市民の生命と都市機能を守った歴史的出来事です。交渉の主役は、新政府東征軍の参謀であった西郷隆盛と、旧幕府側で江戸の軍政を担った勝海舟です。両者は慶応4年（1868年）3月に会談し、江戸城の引き渡しと市中の保全について合意しました。
この交渉に先立ち、旧幕府側の山岡鉄舟が命を賭して西郷に面会し、和平への道筋を開いたことが重要でした。西郷と勝は、徳川慶喜の身柄の安全確保、城と兵器の引き渡し、江戸市中での放火・略奪の厳禁、新政府軍の秩序ある入城などを取り決めます。これにより4月に江戸城は戦闘なしで明け渡され、江戸は大規模な戦禍を免れました。
無血開城の意義は、単なる降伏交渉にとどまらず、内戦の長期化を防ぎ、明治新政府への円滑な権力移行を促した点にあります。以後、上野戦争など局地的な戦闘は残りましたが、最大都市での市街戦が避けられたことは国内外に強い印象を与え、新国家建設を現実のものとする大きな一歩となりました。

正解：4
解説
彰義隊は、江戸城無血開城（慶応4年＝1868年4月）に反対した旧幕府系の武装集団で、旧幕臣・浪人らを中心に結成されました。「義を彰（あき）らかにする」という名が示すとおり、徳川家への忠節を掲げ、新政府に対して抗戦の姿勢を明確にしました。江戸城が引き渡されたのちも抵抗を続け、上野の東叡山寛永寺（輪王寺宮を擁する宗教的・政治的象徴の地）とその周辺に陣地を築いて立てこもります。
戦闘は慶応4年5月15日（西暦1868年7月4日）に勃発し、いわゆる「上野戦争」と呼ばれます。新政府軍は薩長土佐・佐賀など諸藩の連合で、近代的な銃砲（アームストロング砲やガトリング砲など）を効果的に運用して短時間で彰義隊を撃破しました。これにより江戸市街での大規模戦闘は回避され、関東における新政府の支配は決定的となります。敗走した旧幕府勢力の一部は北関東や会津方面へ合流し、戊辰戦争の戦線は東北・箱館へと拡大していきました。
なお、選択肢の「振武軍」は彰義隊から離脱した勢力が北関東で組織した別働隊であり、「新選組」や「見廻組」は主として治安・警察任務を担った組織で、上野での主力抗戦主体ではありませんでした。

正解：3. 白虎隊の少年隊士や藩士の家族の女性たちの集団自決
解説（ですます調）
戊辰戦争の過程で会津藩は新政府から「朝敵」とされ、同盟勢力の離反によって孤立を深めました。1868年の会津戦争では新政府軍の大軍が会津城下に迫り、砲撃によって町は各所で炎上し、鶴ヶ城（若松城）は籠城戦に追い込まれます。補給は途絶え、士気と兵力の面でも圧倒的不利な状況が続きました。
このさなか、会津藩の少年兵で編成された白虎隊の一部が、退却ののち飯盛山にたどり着き、城下の黒煙を見て「落城」と誤認しました。武士として敵の手に落ちることを潔しとしない当時の武家倫理のもと、彼らは集団で自刃に及びました（のちに一人生存して証言を残します）。少年たちが16〜17歳という若年であったことが、この出来事の痛切さをいっそう際立たせています。
さらに、籠城下の城下町や武家屋敷では、藩士の家族の女性たちが敵の侵入・凌辱・捕縛を恐れ、家名や貞節を守るという価値観から自刃・投身などの集団自害に踏み切る事例が相次ぎました。なかでも家老・西郷頼母の一族の女性たちの自刃は、その象徴的な出来事として語り継がれています。
最終的に会津は降伏し、藩は処分を受けて移封され、多くの人々が苛酷な戦後を生きることになりました。白虎隊の悲劇と女性たちの集団自決は、戦乱と社会規範が重なり合って生まれた歴史的悲劇として、現在も深い追悼とともに記憶されています。

正解：3
解説
榎本武揚は、旧幕府海軍の中心人物で、戊辰戦争の終盤にあたる蝦夷地（北海道）での戦いを主導しました。江戸城無血開城後も新政府に恭順せず、開陽丸を旗艦とする旧幕府艦隊（海軍）を率いて品川を脱出し、蝦夷地へ渡りました。箱館（函館）に進出すると、西洋式の星形要塞である五稜郭を拠点に据え、1869年初頭には「蝦夷共和国」を樹立して自ら総裁（事実上の元首）となります。陸軍面では大鳥圭介が統率し、土方歳三ら旧幕臣・旧新選組勢力が加わり、フランス軍事顧問ジュール・ブリュネらの助力も受けました。
しかし、1868年11月に旗艦開陽丸が江差沖で座礁・沈没する不運があり、海上戦力が低下します。新政府は東北・北越戦線を制したのち、艦隊と陸軍を投入して総攻勢をかけ、各要地を次々に攻略しました。最終局面の箱館戦争では、1869年5月に五稜郭が包囲され、榎本は抗戦継続の困難を悟って降伏し、五稜郭は開城します。その後、榎本は赦免され、外務卿・逓信大臣など明治政府の重職を歴任しました。以上より、旧幕府「海軍」を率い、五稜郭に立てこもって抗戦した人物は榎本武揚です。