第一次大戦後の協調外交のことがよくわかる！クイズ5問

正解：3

解説

国際連盟は、第一次世界大戦の惨禍を受けて、恒久的な平和維持の仕組みをつくるために構想されました。起点はウィルソン大統領の「十四か条」（1918年）で、その第14条が各国の共同安全保障と紛争の平和的解決を担う常設国際機関の創設を提唱した点にあります。1919年のパリ講和会議で連盟規約（Covenant of the League of Nations）が講和条約に組み込まれ、1920年1月10日に正式に発足しました。本部はスイスのジュネーブに置かれます。

国際連盟は総会・理事会・事務局を中核とし、軍縮、紛争調停、経済・社会問題への国際協力を目標にしました。付属機関として常設国際司法裁判所（1922年設置）や衛生機関などが整備され、委任統治制度の運用も担いました。日本は創設時から英・仏・伊とともに理事会の常任理事国として参加し、国際連盟の初期運営に一定の役割を果たします。一方で、アメリカは上院の反対で加盟せず、また連盟は強制力や一致原則の制約から、満州事変後の日本の離脱（1933年）や独伊の離脱を防げず、侵略抑止に限界を示しました。これらの反省は第二次世界大戦後の国際連合（1945年設立）に引き継がれ、集団安全保障の再設計につながっていきます。

正解：4

解説

日本は第一次世界大戦後、国際政治における大国として位置づけられ、国際連盟では理事会の常任理事国となりました。創設当初の常任理事国は、イギリス・フランス・イタリア・日本の四か国で、アメリカ合衆国は上院の反対で未加盟でしたが、戦後秩序を主導した「五大国」の一角として日本が扱われたことは事実であり、その反映が常任理事国就任であったと理解できます。理事会は総会と並ぶ中枢機関で、紛争の平和的調停、軍縮、委任統治制度の監督などを担いました。日本は委任統治領（旧ドイツ領南洋群島）の管理や衛生・経済問題への国際協力に関与し、連盟の運営に一定の役割を果たします。

もっとも、連盟は原則として一致決議を求め、強制力に乏しかったため、侵略抑止には限界がありました。1931年の満州事変に際してはリットン調査団の勧告をめぐり日本と連盟の対立が深まり、日本は1933年に連盟を脱退します。これらの経験は、第二次世界大戦後に創設された国際連合における集団安全保障の再設計（安保理の拒否権や平和維持活動の制度化など）へとつながっていきます。以上より、日本は「世界の五大国の一つとして連盟理事会の常任理事国に就いた」という整理が適切であると言えます。

正解：2

解説

正解はアメリカです。国際連盟は、第一次世界大戦後の平和維持のため、ウィルソン大統領の「十四か条」に基づいて構想され、1919年のパリ講和会議で連盟規約が採択されました。しかし、アメリカ合衆国では、ヴェルサイユ条約（連盟規約を含む）を批准するために上院の3分の2の賛成が必要でしたが、孤立主義の高まりや、連盟規約第10条（加盟国の領土保全・政治的独立の共同保障）が「外国の戦争への巻き込み」を招くとの懸念、与野党対立（ウィルソンと上院多数派のロッジの対立）などの要因から批准が否決され、最終的に加盟しませんでした。

これにより、創設時の常任理事国はイギリス・フランス・イタリア・日本となり、世界最大級の国力を持つアメリカが不在となったことで、連盟の抑止力・実効性は弱まりました。ドイツは1926年に加盟後、ナチス政権下の1933年に離脱し、ソ連は1934年に加盟しましたが1939年に除名されるなど、主要国の出入りも連盟の限界を露呈させました。これらの反省は第二次世界大戦後の国際連合創設に生かされ、アメリカは国連には創設メンバーとして参加し、集団安全保障体制の中核を担うようになります。

正解：1

解説

ワシントン会議は、1921年11月から1922年2月にかけてワシントンで開催された国際会議で、ハーディング大統領の提唱により、海軍軍縮と極東・太平洋地域の国際秩序の再構築を目的として開かれました。参加国は米・英・日・仏・伊・中・ベルギー・オランダ・ポルトガルの「九カ国」で、ここで締結された一連の条約により「ワシントン体制」と呼ばれる国際秩序が形成されます。

中心となる成果は三本柱です。第一に、米英日仏伊の五カ国で締結した「五カ国海軍軍縮条約」により、主力艦の保有比率が米英5：日本3：仏伊1.67と定められ、10年間の主力艦建造休止や旧式艦の廃棄が規定されました。第二に、米英日仏の「四カ国条約」によって太平洋の島嶼領有に関する現状維持と紛争時の協議義務が確認され、日英同盟は事実上終了します。第三に、「九カ国条約」により、中国の主権尊重と門戸開放・機会均等の原則が国際的に確認されました。

この会議は海軍軍拡競争を抑え、太平洋の緊張緩和に一定の効果をもたらしましたが、日本にとっては主力艦比率5：5：3が心理的な不満を生み、海軍内部の対立や後年の軍縮離れの伏線ともなりました。それでも1920年代前半における国際協調の象徴的出来事であり、ロンドン海軍軍縮会議（1930年）へと連なる重要なステップであったと評価できます。

正解：2

解説

正解は「ワシントン海軍軍縮条約」です。1921年11月から米国ワシントンで開かれた国際会議の成果の一つとして、1922年2月6日に米・英・日・仏・伊の五カ国が署名しました。本条約は主力艦（戦艦・巡洋戦艦）の保有を制限し、各国の主力艦総トン数の比率を「米英5：日本3：仏伊1.67」と定め、10年間の主力艦建造休止（ビルディング・ホリデー）を規定しました。また、主力艦の基準排水量を35,000トン以下、主砲口径を16インチ（406mm）以下に制限するなど、艦種・兵装にも上限を設けました。これに伴い、各国は老朽艦の廃棄や改造を進め、未成の大型艦計画を取りやめることになります。

空母についても総トン数枠（米英各135,000トン、日本81,000トン、仏伊各60,000トン）や艦ごとの上限が定められ、米海軍のレキシントン級、海軍の赤城・加賀などが戦艦・巡洋戦艦から航空母艦へ改造されました。条約は海軍軍拡競争を抑制し、財政負担を軽減する効果を持ち、1920年代の国際協調を象徴する取り決めでした。一方で、日本の主力艦比率が「5：5：3」となったことは国内で不満を生み、海軍内の対立や世論の反発の要因ともなりました。その後、補助艦種を対象とする「ロンドン海軍軍縮条約」（1930年）へと議論は引き継がれますが、1930年代半ば以降の国際情勢の悪化により軍縮体制は次第に後退していきます。