大正政変のことがよくわかる！クイズ5問

【正解】3

解説

1912年（大正元年）、第2次西園寺公望内閣は、陸軍が主張した「二個師団増設」を財政負担や政党内の反発を理由に退けました。すると陸軍は上原勇作陸相を辞任させ、後任の現役将軍の推薦を出さないという手段をとりました。当時は「軍部大臣現役武官制」により、現役の大将・中将しか陸相になれず、後任が充てられないと内閣を維持できません。結果として西園寺内閣は総辞職に追い込まれます。

その後、元老の奏薦により桂太郎が登用され、第3次桂太郎内閣が成立します。桂は長年の藩閥系統の重鎮であり、政党勢力からは「閥族内閣の復活」として強い反発を招きました。これに新聞・在野勢力、政友会や国民党らが結集して「閥族打破・憲政擁護」を掲げる第一次護憲運動が高まり、やがて桂内閣は短命に終わり、翌1913年には山本権兵衛内閣へと交代します。以上の経緯から、問いの正解は桂太郎となります。

【正解】4

解説

1912年末に成立した第3次桂太郎内閣は、元老・藩閥系の色彩が濃い内閣として、政党勢力や言論界から強い反発を受けました。これに対して、衆議院内外で「閥族打破・憲政擁護」（ご提示の「藩族打破」は、一般には「閥族打破」と表記します）を合言葉とする大規模な内閣攻撃運動が展開されます。この第一次護憲運動の中心に立ったのが、立憲政友会の雄弁家・尾崎行雄と、立憲国民党の指導者・犬養毅でした。

両者は政党内の枠を超えて共同戦線を張り、議会では質問主義や攻勢演説で内閣を追及し、街頭では在野勢力・新聞世論と結びついて大集会やデモを主導しました。桂内閣は衆議院の多数派工作や新党結成策などで延命を図りましたが、世論の反発は収まらず、わずか53日で総辞職に追い込まれます。こうして藩閥主導の政治から、政党本位の政治へと大きく舵が切られる契機となり、その中心人物として尾崎行雄と犬養毅の名が刻まれるのです。

【正解】2

解説

1912年末に成立した第3次桂太郎内閣は、元老・藩閥色の濃い「閥族内閣」とみなされ、政党勢力や新聞・在野の世論から強い反発を受けました。立憲政友会の尾崎行雄と立憲国民党の犬養毅らが先頭に立ち、「閥族打破・憲政擁護」を掲げて議会内外で内閣攻撃を展開します。演説や不信任工作に加え、大集会・デモ、新聞社の焼き打ちなどの大衆運動が全国的に広がり、桂内閣は延命のための策を講じたものの支持を失い、わずか53日で総辞職に追い込まれました。

この一連の政治的危機と内閣交代は「大正政変」と呼ばれます。第一次護憲運動が直接の圧力となって内閣を倒した点で画期的であり、藩閥主導の政治から政党本位の政治へと流れが強まる契機となりました。なお、選択肢の「第一次護憲運動」は政変を生んだ運動の名称であり、政変そのものの呼称は「大正政変」です。

正解：3

解説

シーメンス事件は、1914年（大正3年）に発覚した海軍の汚職事件で、ドイツの電機大手シーメンス社やイギリスのヴィッカース社が、無線通信機器や艦船の受注を有利に進める見返りとして日本海軍の関係者に賄賂を渡していた疑惑が明るみに出たものです。ドイツ側での裁判記録や文書の公開をきっかけに日本の新聞各紙が大々的に報道し、国民の強い憤激とともに帝国議会で厳しい追及が行われました。結果として、第一次山本権兵衛内閣は責任をとって総辞職に追い込まれます。事件は軍部調達の不透明さを世に知らしめ、政治に対する世論の監視機能が強まる契機ともなりました。

なお、選択肢の「大正政変」は1912〜13年に桂太郎内閣が倒れた政変であり、「統帥権干犯問題」は1930年のロンドン海軍軍縮条約を巡る政争です。「日糖事件」は1909年に起きた砂糖業界に関する贈収賄事件で、いずれも本問の山本内閣退陣の直接原因とは異なります。

【正解】3. 大隈重信

解説

1914年（大正3年）のシーメンス事件で海軍高官の収賄が発覚し、山本権兵衛内閣は激しい世論の非難を受けて総辞職に追い込まれました。空白を埋めて政局を安定させるため、元老の西園寺公望らは、政党政治への期待が高まるなかで国民的人望の厚い大隈重信を首相に推薦します。こうして第二次大隈内閣が成立しました。与党基盤は立憲同志会で、外相の加藤高明らを起用し、同年には第一次世界大戦への参戦を決定します。翌1915年には中国に対する「二十一カ条要求」を打ち出すなど、外交・内政の双方で積極的な姿勢を示しました。大正政変で桂園時代の藩閥政治が揺らいだ後であり、大隈の登場は「政党内閣」への機運を一段と強める契機となりました。