ミケランジェロについてのクイズ10問

ミケランジェロは、74歳のときにアントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョヴァネの死去をうけて、当時改築中だったサン・ピエトロ大聖堂の主任建築家に任命された。このときミケランジェロは従前の設計を変更し、建物西側（奥）はミケランジェロの設計どおりに建てられた。ただし、主ドーム部分はミケランジェロの死後になって、別の設計に変更されて完成している。(Wikipedia)

ミケランジェロの彫刻で最も有名と思われる『ピエタ』（1498年 - 1499年、サン・ピエトロ大聖堂）と『ダヴィデ像』（1504年、アカデミア美術館）は、どちらもミケランジェロが20歳代のときの作品である。また、ミケランジェロ自身は絵画作品を軽視していたが、西洋美術界に非常に大きな影響を与えた2点のフレスコ画、システィーナ礼拝堂の『システィーナ礼拝堂天井画』と祭壇壁画『最後の審判』を描いている。(Wikipedia)

正解

2. 24歳

解説

ミケランジェロ・ブオナローティが「ピエタ」を完成させたのは、1499年、彼が24歳のときです。この彫刻は、ローマのサン・ピエトロ大聖堂に置かれ、彼の若き日の天才を証明する傑作とされています。「ピエタ」とはイタリア語で「哀しみ」や「慈悲」を意味し、聖母マリアが十字架から降ろされたキリストの亡骸を抱く場面を表現しています。

この作品の驚くべき点は、ミケランジェロがわずか2年で完成させたという事実と、当時の彫刻技術の限界を超える細部へのこだわりです。例えば、マリアの衣の繊細なひだや、キリストの肌の柔らかさを感じさせる表現など、驚異的なリアリズムを実現しています。また、この作品は均整のとれた美しい構図で知られ、彫刻全体が流れるような優雅さを持っています。

さらに、「ピエタ」はミケランジェロが署名を残した唯一の作品です。マリアの胸元には「ミケランジェロ・ブオナローティ、フィレンツェ人による」と刻まれています。これは、自分の作品として明確に認めてもらうためのものと考えられています。

ピエタ像はルネサンス期の芸術の頂点のひとつとされ、現在も世界中の人々を魅了し続けています。

ピエタ像 (Wikipedia)

正解：3. フィレンツェのアカデミア美術館

解説：

ミケランジェロの「ダヴィデ像」は、1501年から1504年にかけて制作されたルネサンス期を代表する彫刻作品です。この作品は、ルネサンス時代の人間中心主義や古代ギリシャ・ローマ文化の再評価を象徴しており、完璧な人体表現と迫力ある構図で世界的に高い評価を受けています。

「ダヴィデ像」のオリジナル作品は、現在イタリアのフィレンツェにあるアカデミア美術館に展示されています。もともとはフィレンツェのシニョリーア広場（市庁舎前）に設置されていましたが、外部環境からの保護のため1873年に現在のアカデミア美術館に移されました。その後、シニョリーア広場にはオリジナルとほぼ同じサイズのレプリカが設置されています。

アカデミア美術館では、ダヴィデ像を中心にミケランジェロの他の作品やルネサンス期の美術品も展示されており、美術史において重要な役割を果たす施設として観光客にも人気があります。この像は大理石で制作されており、青年ダヴィデが巨人ゴリアテとの戦いに挑む直前の緊張感を漂わせる瞬間が見事に表現されています。

正解: 3. ラオコーン

解説:

ラオコーンはギリシャ神話に登場するトロイアの神官で、トロイア戦争の際に木馬の中に潜んでいたギリシャ軍の策略を見抜き、それを警告しようとしました。しかし、海神ポセイドン（またはアテナ）の怒りを買い、巨大な蛇に息子たちとともに絞め殺されてしまいます。この劇的な場面を彫刻にしたのが「ラオコーン」で、ギリシャ・ヘレニズム時代の作品とされています。

1506年にローマのエスクイリーノの丘で発見されたこの彫刻は、そのリアルな表現力と動的な構図が非常に高く評価されました。特に、ラオコーンの苦悶の表情や身体の緊張感は人間の感情や肉体の力強さを見事に表現しています。この彫刻はミケランジェロを含む多くのルネサンスの芸術家に影響を与え、彼らの作品に新しい生命を吹き込みました。また、ミケランジェロはこの彫刻を特に愛し、その技法や表現力を自らの彫刻や絵画に反映させたとされています。

現在、この彫刻はバチカン美術館に収蔵され、訪れる人々を魅了し続けています。

ラオコーン

正解：1. ローマ教皇ユリウス2世

解説：

システィーナ礼拝堂の天井画は、ミケランジェロが1508年から1512年にかけて描いたルネサンス芸術の最高傑作の一つです。この壮大な天井画の制作を依頼したのは、ローマ教皇ユリウス2世でした。ユリウス2世は芸術や建築に対して強い関心を持つ教皇で、ヴァチカンをルネサンス文化の中心地とすることを目指していました。

当初、ミケランジェロは彫刻家としての活動を重視しており、この依頼に対して消極的でした。しかし、ユリウス2世の強い要請により、最終的に天井画の制作を引き受けました。この天井画には旧約聖書の「創世記」に基づくシーンが描かれており、有名な「アダムの創造」を含む約300以上の人物が描かれています。

制作中、ミケランジェロは高い足場の上で作業し、非常に過酷な条件に耐えながらも、圧倒的な芸術的才能を発揮しました。この天井画は、建築、絵画、そして宗教芸術の統合として称賛され、今日に至るまで多くの人々に感動を与え続けています。天井画を依頼したユリウス2世は、自身の芸術的なビジョンとパトロンとしての活動によって、ルネサンス期における重要な人物として歴史に名を残しています。

システィーナ礼拝堂の天井画

正解：2. 新約聖書のヨハネ黙示録

解説：

ミケランジェロの「最後の審判」は、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の祭壇壁に描かれたルネサンス美術の傑作です。この作品は、教皇クレメンス7世によって依頼され、その後の教皇パウルス3世の時代に完成されました。「最後の審判」は新約聖書の「ヨハネ黙示録」に基づいており、終末の日におけるキリストの再臨と人類の裁きを描いています。

この壮大な壁画には、中央に威厳ある姿で立つキリストが描かれ、彼の右手側には救われた者たち、左手側には地獄へ堕とされる者たちの様子が配置されています。また、画面全体には約300人の人物が精巧に描かれ、ミケランジェロの卓越した解剖学的知識と劇的な表現力が存分に発揮されています。

この作品は、そのスケールの大きさだけでなく、芸術表現の力強さや精神的な深みからも評価されており、ルネサンス時代の宗教芸術の頂点とされています。また、「最後の審判」にはミケランジェロ自身の時代背景や宗教的な感情が反映されており、宗教改革やカトリック教会の対抗改革の影響を受けていると考えられています。

特に「ヨハネ黙示録」のテーマを視覚的に壮大な形で表現したこの作品は、今日でも宗教芸術の象徴として多くの人々に感動を与え続けています。

ミケランジェロ「最後の審判」

正解：2. ローマ教皇ユリウス2世の墓碑の一部とするため

解説：

ミケランジェロの「モーゼ像」は、ローマ教皇ユリウス2世の墓碑を飾るために制作された彫刻です。この彫像は、ローマのサン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会に現在も設置されており、ミケランジェロの彫刻作品の中でも特に評価が高いものの一つです。

もともとユリウス2世は、自身の墓碑を壮大かつ華麗なものにするよう計画しており、ミケランジェロにその設計と制作を依頼しました。最初の計画では、墓碑は40体以上の彫像と大規模な建築構造を含むものでした。しかし、計画は教皇の死後、大幅に縮小され、「モーゼ像」はその中心的な要素として制作されることになりました。

「モーゼ像」は旧約聖書のモーゼを題材としており、彼が神から十戒を授かる場面を象徴しています。この彫像の特徴は、モーゼの力強い身体表現と、その顔に刻まれた深い精神的な緊張感です。また、モーゼの頭部に描かれた「角」は、ラテン語聖書（ヴルガータ訳）の翻訳による解釈の影響を受けており、神との対話の際に放たれた光を象徴しています。

この彫刻はミケランジェロの解剖学的な知識と彫刻技術を存分に示しており、見る者に圧倒的な存在感を与える作品となっています。「モーゼ像」は、当時の彫刻技術の頂点を示すだけでなく、宗教的、精神的なテーマを深く掘り下げた作品として今なお多くの人々を魅了しています。

ミケランジェロ「モーゼ像」

正解：2. フィレンツェのサン・ロレンツォ教会

解説：

ミケランジェロが設計した「メディチ家礼拝堂」は、イタリアのフィレンツェにあるサン・ロレンツォ教会に位置しています。この礼拝堂は、ルネサンス期にフィレンツェを支配したメディチ家の権威と栄光を象徴する建築物です。ミケランジェロはこの礼拝堂の設計と彫刻を担当し、建築と彫刻の融合によって独自の空間美を生み出しました。

礼拝堂は、メディチ家の重要な一族の墓所として機能する「新聖堂（サクラ・ファミリア）」として建設されました。その内部には、ミケランジェロが彫刻した「昼と夜」、「曙と黄昏」などの象徴的な彫像が配置され、これらは時間や人生の儚さを表現しています。これらの彫像は、古典的な美学とミケランジェロ独自の力強い人体表現が融合した作品で、彼の彫刻技術の頂点を示しています。

礼拝堂の設計では、幾何学的な調和と彫刻による装飾が見事に融合しており、空間全体が神聖さと威厳を感じさせる構造となっています。ミケランジェロは建築家としても革新性を発揮し、当時の伝統的な建築様式を超えた斬新なデザインを取り入れました。

現在、「メディチ家礼拝堂」はフィレンツェの歴史的観光名所の一つとして、多くの観光客を魅了しています。この場所は、ミケランジェロの芸術的な才能とメディチ家の栄光を記念する特別な空間として位置付けられています。

ミケランジェロが設計したメディチ家礼拝堂（Cappelle Medicee）は、フィレンツェのサン・ロレンツォ教会内にあり、メディチ家の権力と文化的影響力を象徴する重要な建築とされています。この礼拝堂は、特にミケランジェロの建築と彫刻の才能が融合した傑作といえます。

メディチ家礼拝堂　ミケランジェロの彫刻「昼と夜」

正解: 3. ドゥオーモ博物館

解説:

「フィレンツェのピエタ」は、ミケランジェロが晩年に制作した彫刻作品の一つで、未完成に終わっています。この作品はキリストの死を嘆く聖母マリア、マグダラのマリア、そしてミケランジェロ自身の肖像が刻まれていると考えられるニコデモが含まれています。当初、ミケランジェロはこの作品を自らの墓に設置するために制作しましたが、完成することなく制作を中断し、一部を破壊したとも伝えられています。その後、修復を受けて現在の形になっています。

このピエタは現在、フィレンツェの「ドゥオーモ博物館」に展示されています。同博物館は、フィレンツェの大聖堂（ドゥオーモ）に関連する芸術作品を収蔵・展示しており、ミケランジェロのこの作品もその一環として保存されています。博物館の静かな雰囲気の中で、この特別な作品をじっくり鑑賞することができます。

ミケランジェロ「フィレンツェのピエタ」