世界遺産「スクーグスシルコゴーデンの森林墓地」はどんな特色を持っていますか？

正解

3. 自然環境と調和したデザイン

解説

スウェーデンの首都ストックホルム郊外にあるスクーグスシルコゴーデンの森林墓地は、1914年から1915年にかけて行われた「ストックホルム南墓地国際コンペティション」の結果として設計されました。当時まだ無名であった若き建築家グンナール・アスプルンドとシーグルド・レヴェレンツが設計を担当し、自然と調和した独特のデザインを実現しました。

この墓地の設計コンセプトと造形には、ナショナル・ロマンティシズムから北欧新古典主義を経て、成熟した近代建築へと到達したスウェーデンの建築潮流の変遷が反映されています。特に注目されるのは、自然環境との調和を重視した点で、森の中に墓地が配置されており、訪れる人々に静けさと平和を提供する場となっています。

スクーグスシルコゴーデンは、同国ではじめて火葬を前提とした葬祭場と墓地として計画され、進歩主義が全盛だった20世紀前半において、自然の一部として生きるべき人間の摂理を表現した建築作品です。このため、北欧人にとって精神的な故郷といえる「森」へ還っていく人間の運命を直感的に悟らせるような建築表現を実現しており、現代の環境問題を先取りするかのような意識の次元にいち早く到達した点が高く評価されています。

その結果、1994年にはユネスコの世界遺産に登録され、自然、建築、美学が融合した特別な場所として広く知られるようになりました。